小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

KelloggとISBの比較

ISBの思い出シリーズですが、記憶が薄れる前にざっとまとめて書いておきます。今回はKelloggとの比較という観点です。飽くまでISBは2ターム(Fulltimeの学生の4分の1)過ごしただけですし、1意見として参考にして頂ければと思います。

課題の作り込みや実際のビジネス課題との関連性はKelloggの方が優る

ISBとの授業の比較で気づいた点として、Kelloggの(特に選択科目の)授業で与えられる課題は実際の事例を下敷きにして、顧客の解約率を予想したり、マーケティング戦略を考える等、なるべく学問チックにならないように工夫が凝らされていた様に思います。この点、正直ISBでは、学問として、理論的な事柄を学んでいる時間が長かった様に思われ、その点で学部時代に受けた経営学の授業を彷彿とした場面もありました。

授業の国際性という点は意外と大差がない

欧州の学校から米国のビジネススクールに交換留学した方が、ケースがアメリカ中心で欧州ほどの国際性を感じない、とコメントしているのを目にしたことがあります。恐らくその点は正しく、Kelloggでも体感7−8割ぐらいは米国の事例が扱われています。

一方ISBはどうかというと、意外なことにケースで登場するのは引き続きAmazonAppleで、然程違いを感じませんでした。なんでだろうと考えたところ、ISBに来る学生達はインドに対する理解を深めたいと言うよりはGlobalでのBest practiceを学ぶことに主眼を置いており、だからこそISBに来ている、という面があることに思い当たりました。ISBはKellogg・WhartonがFounding partnerで、私立の独自色・国際色が強い学校というコンセプトである為、学ぶ内容も米国のビジネススクールに近づけている様に思われます。

一つ印象的だったのは、Analyticsの授業で教授がアメリカの大手スーパーのTargetの事例を挙げた時、学生の多くがTargetについて知っている様子だったことです。AmazonApple等Globalに事業を展開している企業ならともかく、小売という業態で且つWalmartの様なLeading companyでなくとも認知されているということで、日本以上に、アメリカへの感度が高いな、と感じた事例でした。

就活はインドもアメリカも、現地が基本

ISBはインドで就職するため、Kelloggはアメリカで就職するための教育機関、という側面があるのは否定できないと思います。ISBの場合Recruitingが基本全てOn-campusで行われて、1−2週間の短い期間で集中的に面接をこなして就職を決める、というプロセスに全てのリソースが集約されていることから、学生が国外で仕事を見つけるハードルは一層高い様に思います。インド国内で就職するインド人は私は発見出来ませんでした。その点、留学生の比率が相対的に高いKelloggの方が、(アメリカが圧倒的多数ではあるものの)卒業後の地理的な分散はまだ大きい様に思います。

学生間の人間関係は、ISBだと極めて密になりやすい

ISBの場合、学生が基本全員キャンパス内で暮らし、授業も全て同じ建物内で行われることから、生活圏が全員まるっきり同じ、ということになります。且つ、インド人は人間関係が極めて濃厚なので、毎日のように誰かのBirthday partyが開催され(Hyderabadだけで600人ぐらいいるので基本誰かの誕生日)、夜な夜な誰かがどこかで酒を飲んで騒いでいる状況が生まれています。

KelloggはEvanstonという小さな街に殆どの学生が住んでいることからUSの学校の中でも比較的人間関係が濃い方だとは思いますが、そうは言っても住んでいる場所は半径800mぐらいの中で点在していますし、生活圏やスケジュールも各々異なる為、ISBほどの濃密さはなかった様に思います。Kelloggの人間関係が薄いというより、ISBの濃さが究極、といったほうが正しそうです。

地理的なダイバーシティはISBだと基本ゼロ

ISBの留学生比率は平時でも2−3%(含む国籍が異なるだけで殆どインド人、という人々)なので、基本的に完全なインドワールドです。インド人の考え方、文化、最近の潮流を学ぶ為にこれ以上ない空間、という点である意味差別化はされているので、(いないとは思いますが)様々な国籍の人と議論を交わしたい、みたいな目的で留学する場所ではないと思います。

ISBのほうが、日本人的には主体性をもって動きやすい

これはUS留学された日本人の方はなんとなく分かるかとは思いますが、USのトップスクールは基本システムもしっかりしていて合理的なことが多いですし、その中で学校の生徒会的な活動で精を出しているのは、言語的に不自由なく、アメリカで長く過ごしてきた学生が圧倒的に多いと思います。ということもあり、日本人、というか留学生でスクール全体の活動に携わる人は、結構稀です。

一方、ISBだと改善点は普通に生活しているだけで色々降って湧いてきますし、またある種どこにいても目立つ、声を上げやすい存在になるので、学校自体の改善に関わる活動に関与しやすい様に思います。インドの多くの物事がそうですが、かっちりとしたルールを設けずに、物事が流動的に決まっていくという国民性も、何かActionを起こしたい人にプラスに働く面はある気がします。実際に、Full timeで留学されていた日本人の方はISB全体のタスクフォースに入って毎日のようにDeanと議論し留学生のために色々勝ち取っていました。その方との一緒に動いた結果ですが、私も交換留学生の身でありながら、International Students ClubなるクラブのCo founderという形で一応学校にわずかながら貢献することが出来たように思います。