久々のブログ更新。毎月欠かさず続けてきた月次振り返りも2ヶ月途絶えてしまっていた。今日Xにも投稿した通り、仕事を退職して駐在帯同のステータスになることが確定した訳だが、そこに至るまでビザやら退職日やら沢山不確定要素があり、しばらくブログを書けない状態だった。今後はまた最低月一回は更新していければと思っている。
ご報告ですが、勤務先を退職して11月から駐在帯同(いわゆる駐在夫)になります。
— 小市民 (@Shoshiminkun) October 12, 2026
ニッチな論点過ぎて個人特定余裕なので詳細書けないんですが(法律違反ではない)、1年半の妻の駐在期間はH1Bが使えないことが最近判明し、しばらく娘の世話をしながら過ごす予定です。場所は引き続きDCです。
さて、向こう1年半は就労許可が出ない中、何に時間を使おうかと考えていたところ、一つは小型株投資かなと思っている。株について調べたり財務諸表読んだりするのは、仕事外でやっても苦にならない、心底楽しいと思っている活動なので、退職を機に深掘り出来ればと思う。働くのはダメでも、株はビザ的にもOKだし。
そんな訳で自分の株式投資の原典でありバイブルであるわが投資術を読み返していたが、読む度にこんなことも書いてあったのか、と新しく気づくことがある。著者と自分の経験値の差が大き過ぎて消化不良の内容が山程あり、そのギャップが2年半の投資経験を通じて多少は埋まり、理解度が上がった、という構図なのだと思われる。
今日は、わが投資術を再読して感じたこと、また2年半の株式投資経験を通じて思っていることを、頭の整理も兼ねて書いていきたい。本から着想は得ているものの、自己流の解釈+私見も入ってるので、その前提で読んで頂きたい。
効率的市場仮説にはグラデーションがある
清原氏自身はショートでの成功/失敗談や暴落時のREIT投資等も語っているが、彼の投資法の真髄はやはり、「小型で、割安で、成長する株を買うべし」というものだろう。効率的市場仮説の話は、Why 小型株を説明する重要なポイントとなる。
そもそも効率的市場仮説はファイナンスに触れる人は誰もが最初に学ぶ話で、色々タイプはあれど、ざっくり「株価は世の中の既知の情報を全て織り込んでいるので、インサイダー情報なしに市場に継続的に勝つのは困難」というメッセージとなる。
しかし、「効率性」の程度は大型株と小型株で実は異なる、とわが投資術から私は読み取った。トヨタの時価総額は40兆円を超え株主は100万人以上いるらしいが、四半期決算どころか、トヨタの製造工程に関するトラブルや新しいCMの効果まで、100万人以上の投資家、そして彼らに情報提供するアナリストが常に見張っている。そして、株価が企業価値に対して見合わないと思えば、すぐにLong / Shortの売買がなされ株価は修正される。
一方、時価総額500億円に満たない小型株の場合、投資家は数100人ということもある。それも、Sophisticatedで多額の資金を運用するヘッジファンド等プロの投資家は稀で、創業家や個人投資家が主な株主。1,000億円運用する様なファンドは小型株に投資したくても、一日数百万円しか出来高がない様な銘柄を調べて投資していくのは非効率だし、投資元本が多いと自分の取引で株価が釣り上がって取得コスト上がるし、いざという時にも流動性低くて売りづらい、といった問題に直面する。大きな投資家がいないと、セルサイドのアナリストも付かない。流動性がないのでアルゴリズムでトレードする人も多分いない。
という訳で、小型株の場合、業績を見張っている人の絶対数が少ない。文字通りコンマ数秒の世界で株価が修正される大型株に対し、決算公表後も株価に見通し変化が即座に反映されず、数日・数週間割安で放置される、ということが起こり得る。そこで、個人投資家でも割安な株を買い、業績が株価に反映されてきたタイミングで売却して利鞘を稼ぐ余地がある。
本当に市場平均やプロの投資家には勝てないのか
少し株式投資について調べると、市場には勝てない、個人投資家はインデックス投資をすべき、という情報にぶち当たる。ただ、その根拠として挙げられる話を読むと、プロの運用者の話が多い。アクティブ運用のファンドが継続的に市場平均を上回るのは難しいとか、上回ったとしても過去の実績から良いファンドを特定するのは困難(なのでインデックス投資がベスト)、みたいな。それは当然と言えば当然で、市場のアクティブ運用を全て足し合わせれば市場平均のポートフォリオになる。そしてアクティブファンドは手数料が高いので、半分以上のファンドがインデックスにリターンで負けることになる。しかし、この「手数料の分だけ市場平均に負ける」、という話は、ネット証券で個人の売買手数料も微々たるものになった現代であればあまり関係ない。要は個人投資家は市場と五分で勝負できる。
更に、小型株に投資する場合、多くの機関投資家が参入してこれない投資対象なのでそもそも土俵が違うし、投資してきたとしても上述の通りプライスが悪くなる。更に、プロの運用者は月次で損益が管理され、2ヶ月連続で赤字だとイエローカードが出てクビを意識しないといけない、といったリスク管理上の制約もある。個人投資家なら、半年赤字でマイナス30%になっても、翌年2倍になればなんの問題もない。
プロの運用者はめちゃくちゃスマートな人達が株のことばかり考えて時間使ってるし、機関投資家オンリーの説明会もあったりするので勿論有利な面もあるとは思うが、それを差し引いても個人投資家の方が有利だと思う。
成長する銘柄をどうやって見つけるのか
長くなったが、ここからがわが投資術ではそんなに触れられてない部分。清原氏曰く、「小型で」「割安で」「成長する」株に投資すれば良いのだが、小型(時価総額500億円以下)・割安(PERや、ネットキャッシュ比率/PBRが低い)はスクリーニング条件に当てはめれば一発だが、成長するかどうかは機械的に判断することが難しい。多分、この本を読んで一番陥りがちなパターンは、安くて小さいイケてない会社の株を買って業績は横ばい〜やや下降、株価も同様、というパターン。それでも元から安い株価なので、大損はしないのは救いだけど。やはり利益成長がない会社は株価が見直される機会がないので、大きく儲かる可能性は小さい。
わが投資術内でも、経営者の情熱を見る、その会社のビジネスモデルは需要の先食いでないか等のポイントの共有と実際に投資した銘柄の例が挙げられるが、個人投資家が社長の質やビジネスモデルをいきなり読み解くのはかなりハードルが高いと思う。少なくとも自分はキツかった。本ではまず10銘柄割安小型株を買うべしと勧めているが、その主な狙いは成長しない株は結局株価が上がらないことを実感させ、そしてどんな企業が成長する/しないのか自分なりに肌感を持つこと、にあると思われた。
成長企業を特定する上で、自分が参考にしたのはreformer21という個人投資家の方。小型割安成長株投資で投資して、元で300万円から26億円まで増やしたらしい。年利30%というインデックスを大幅に上回るリターンを叩き出している。
彼の発信も参考にしつつ自分の保有銘柄を眺めてみて、成長企業を見極める上で以下4つのポイントが重要だと考えている。
- 中期経営計画を作っているか
元々大企業に勤めていたので中計を作るなんて当たり前だと思っていたが、小型株の世界では体感20-30%の会社しか中計を作っていない。中計を作っている時点で、業績を拡大していこう、という意思が感じられてプラスに評価が出来る。目標が達成できるとは限らないが、そもそも目標があるか否かは大いなる違いである。
中計の利益目標で年率10%ぐらい利益が伸びる計画ならかなり期待できる。もちろん、それを裏付ける受注や店舗数等の先行指標は出ているのか、過去の中計は達成されたのか、等を見て絵に描いた餅でないことは要確認だが。
中計が一番に確認ポイントだが、ホームページでの社長のコメント、決算説明会やってるか、短信の開示は丁寧か、等も会社のやる気を測る指標になる。 - 通期で増益するのか
会社予想が減益の会社は基本的には避けたい。特に、メイン事業の市場が縮小しているとか競合に押されている且つサブの事業も育ってないとかは最悪。投資時にPERが低く見えても利益がその後半分になればPERは倍になるので、割安でもなくなる(そしてPERを修正する様に株価が下がる)。減益が為替や年金関連コストの組み入れ、一過性の特別損失等によるものなら許容、逆に今季の利益が一過性の特需等による場合は駄目。一過性を除外して平場の状態で見た時に、利益が伸びていくと信じられる会社でないと投資すべきでない。ビジネスモデルにも依存するが、開示がしっかりしている会社は受注残、プロジェクト数、店舗数等の先行指標を出してくれるし、そうでなくても前受金や契約負債等BSから少し先の未来が予想できることがあるので、活用する。Chat GPTに四半期の短信数年分ぶちこんで予想させるだけでもかなり参考になる。
後は、過去の季節性の傾向も踏まえて通期予想の進捗率を見て順調か確認したり、過去の通期予想に対し実績が上振れ/下振れがちかも見ておくと参考になる。 - 自分が読めない市況に左右されていないか
メイン事業が市況次第で、増益するか減益するか皆目見当がつかない場合、受注等から固く予想できる会社よりは評価を下げるべきだと思われる。海産物や業務用PC市場の市況に左右される、とか言われたとして、自分はどうすれば市況を予測できるのか全く分からない。
難しいのは、自分の保有銘柄で大きく株価が伸びたのはこのタイプの銘柄だった。去年はかわでん、今年はSK Hynixから半導体を仕入れて売っているシンデンハイテックスが急騰して株価が2.7倍になった。シンデンはAIブームで通期の利益予想が6倍というモンスター決算が出た。
そんなこともあるので絶対駄目とも言い難いが、かわでんにしてもシンデンにしても自分にとっては完全にラッキーパンチなので、少なくとも投資の実力とは言い難い。最低限、下振れリスクはどの程度か検討してから投資すべきだったのかなとは思う。 - 資本政策にやる気はあるのか
これは1とも繋がるが、小型株では全く資本政策にやる気がない会社が少なくない。中計なし、決算説明会なし、短信の開示も必要最低限で、成長戦略だけでなく資本政策の考え方も全然読み取れない会社がある。そして、この手の会社は大体配当が低く(1%以下とか)、儲けが出ていてもCashとして毎期積み上がる、たまに有価証券を買っていたりする、という特徴がある。
上場しているのになんで株主に対して説明責任もリターンを還元する責任も放棄しているのかは謎だが、創業者が高齢で相続対策で株価上げたくないのかな、とか創業一族で株は過半数持ってるから少数株主に配当や自社株買いで利益が流出するのが嫌なのかな、と想像する。自分が保有している幸和製作所という株は、創業者の子供・孫が3世代で取締役に入っており、孫は23歳で何の経験もなしに取締役に任命されていた。こうした会社は成長したり配当出したりせずとも、会社は横ばいで役員報酬や少ない配当で創業一族が豊かに暮らしていければそれで良い、ということなのかなと想像している。それなら上場して外部の投資家の資金を募らないで欲しいが。
長くなったが、まとめると小型株なら業績が株価に反映されるまでのタイムラグがあるのでファンダメンタルだけ見て投資するのでもチャンスがあり、それは中計・短信・決算説明等開示資料を読み取るだけでも結構いけるのでは、と自分は考えている。
あ、あと一点書き忘れていたが、なんでPERが安くなっているのかを考えることも大切だと思われる。PERが低い=市場から減益しそうな駄目会社だと思われている、ということなので、その評価の妥当性を考えることは恐らく大切。実際に減益がほぼ確実でPERが低い場合は勿論投資すべきでないが、個人的には比較的若い会社や、業界的にスティグマがある会社はチャンスがあると思う。清原さんの投資事例でも、不動産屋のプレサンス(=経営者の逮捕等のスティグマ)や、上場間もないゼンショーやニトリで大儲けしたという話があった。最終的には業績さえ良ければPERは伸びていくものと思われるので、こうした会社を自分は狙っていきたい。




























