小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

ISBで得られるもの

ここまで書いた内容を踏まえてですが、日本人がISBに留学する場合に得られるものは、大きく4つだと思っています。以下、まとめていきます。

新しいInspirationが得られる

私にとってインドという国は、西洋とも東アジアとも異なる、全く新しい文化圏でした。世界各地で欧米化が進展して久しいですが、インドという国はこれだけ発展めざましくとも尚インドであり、見聞きするものに新鮮な事柄が多いです。

ビジネスの文脈で見た場合でも、面白い国だと思います。Urban Company(高品質のマッサージや水道修理工とマッチングするPlatform)は日本でもアメリカでも目にしないサービスですし、Shadow a CEOという試みも、日本やアメリカに持ち込んでも面白いものだと思いました。ビジネスを始めたいと思っている人が、何か新しい着想を得たい、という目的で来る場所として、実はインドは良い国なんじゃないかと思います。

リーダーシップ経験

飽くまでアメリカと比較してなので、日本と比較すると大変な苦労にはなるとは思いつつも、Global環境で何かリーダーシップを取る場所としては難易度は高く無いように思います。留学生というだけで珍しく、新しい視点を提供することを期待されているという点は大きいです。

信頼できるインド人脈

インド人脈を構築したい、という日本人にとって、ISBに通う以上の方法は無いんじゃないかと思います。学生はIIT始めインド国内の俊英達で、著名なプロフェッショナルファームやインドの大企業、スタートアップに羽ばたいて行くので、極めて強力なインド人脈となります。そうは言っても(どこの国でもそうですが)個人レベルだと当然良い人もいれば悪い人もいるわけですが、同じキャンパスに住んで同じ授業をとって酒を飲み交わしていると、誰が信頼できるかという点も自ずと見えてくる訳で、私自身、「将来インドで何かするときは彼に連絡しよう」と思える、大切な友人を数名作ることが出来ました。

インドについての文化理解

この点も極めて大きいです。駐在や旅行等でもインドについて触れることはできるとは思いますが、インド人と家をシェアし、同じキャンパスで過ごすことでしか見えてこない部分は間違いなくあります。具体的に書くと長くなるので、この点は別記事にしたいと思います。

日本人が来るなら

日本人がISBに来るならどんなパターンがあるかと考えてみると、大きく3パターンかと思います。

  1. 他のMBAからの交換留学
    これは言うまでもないですが、就活について考える必要もなく、比較的短期で来れるので、インドが合わなかった場合でもダメージは小さいです。欧米もしくは日本で就活はする、一方でインドについても理解を深めたいという方は、是非門戸を叩いてみたら良いと思います。
  2. インドビジネスに熱い企業からの社費派遣
    インドで事業拡大を検討している企業が、ISBに社費で学生を送るのもお勧め出来ます。Part timeでDelhiやMumbai等で授業を受けるという選択肢もありますし、授業料が安く企業側の金銭的負担が少ない(また正直転職リスクが欧米より低いという点も)企業視点だとメリットになります。上述の通り、日本企業から普通に駐在した人がISBと同レベルの人脈構築をするのはまず無理だと思いますし、インドに対する文化理解も格段に深まると思いますので、インド人材養成という点では良い選択肢になると思います。
  3. 日本に近い授業料で高いレベルのビジネス教育を受けたい方
    最後は、純粋にAcademicにビジネス全般を学びたいという日本人の方にも、おすすめできると思います。そもそも授業料や生活コストは欧米よりかなり安いですし、留学生の場合は奨学金が得られていることが多い様です。Financial Times等のランキングをベースにすると、ISBはアジアで3−4番手、世界的にも20−30番手ぐらいの学校で、(残念ですが)日本に、国際的な評価で比較対象になる学校はない状況です。
    英語は勿論ネックになりますが、むしろ英語で学べることをプラスに捉えられる方であれば、日本のビジネススクールではなくISBに来た方が良い経験になることは十分考えられると思います。

現地就職の場合は給与水準がインド水準になる(400−500万円程度)為多くの日本人が望ましいと思うレベルにはまだ無いこと、日本国内で就活する場合は評価が正直未知数(面白がってくれる企業はありそうだが、私費ISB留学生の事例が少なすぎてよくわからない)なのが率直なところですので、欧米と同じイメージで私費生が留学するのは正直リスクもある様に思います。一方で、上記3カテゴリーに当てはまる方であれば、ISBは魅力的な選択肢になり得ると考えます。