小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

インド企業のCEOの1日に密着してみた【Shadow a CEO】

3月頭に無事インドでの最終Termを終え、先週はインド各地を旅行していたのですが、Hyderabadに帰ってくる前にShadow a CEOというISBのプログラムに参加しました。こちら、ISBのかなり意欲的な取り組みで、その名の通りCEOをShadowする、即ちCEOに一日引っついて行動させてもらうことを通じて、学生の視座を高め視野を広げる、という趣旨となっています。インドの巨大財閥Aditya Group(2020年の売上460億ドル)のFounderが最も人気でしたが、それ以外でもBain Capital、Microsoft、Oyo等、錚々たる企業のマネジメントが参加しています。

私はSchbangという、マーケティングを中心としたTech企業のCEO、Harshil Karia氏につくことが出来たので、その時の学びを簡単にまとめておきます。Karia氏はまだ30代なかばとかなり若いですが、半端なく頭が切れるのに20代前半の若者と同じ目線で会話する、フランクで素晴らしい方でした。

ヒンディー語が出来ないと、インド国内では仕事にならない

CEOが参加するミーティングに入らせてもらいましたが、会計士を交えて財務の話をするも話の2割も理解できませんでした。というのも、会計士がヒンディー語でのやり取りを望んでいるとのことで、会議はヒンディー語6割、英語4割という格好で、唯一の非インド人で議論にも参加していない私は完全に置いてけぼりになりました。

後でKaria氏に聞いたところ、会計士の中でもサービスレベルは異なっており、英語対応が可能な会計士はそれだけでコストが高くなる、とのことでした。その後も、社内の会話含めヒンディー語が随所で飛び出して話が追えなくなることがあったので、インド国内でグローバル企業や駐在員として働くならともかく、インド企業でインド人に囲まれて仕事をする場合、ヒンディー語習得がマスト、という点を実感しました。

協調が重視され、コミュニケーションに割く時間が多い

この点は上記と違ってどこまで一般化出来るかは謎ですが、社員同士で話している時間が日本企業と比べて非常に長いように見えました。私のような得体のしれない人間でも、質問すると殆ど皆が嫌がらずに30分以上(多い人は1時間以上)を割いて、仕事の説明をしてくれ、極めて協調的な風土がありました。Karia氏もミーティングが無い空き時間は必ず色んな社員に声をかけて他愛のない話をしており、会話を通じて信頼関係を醸成する、というのはインドビジネスの基本として大事なのだな、と感じました。この点、日本企業では駐在員だけで固まる、という点が珍しくない様に思われ、どこまでインド流に合わせるかは議論あるにせよ、留意すべき項目だと思います。

スケジュールが詰まっていない働き方

上記とも関係しますが、仕事の取り組み方はよく言うと臨機応変、悪く言うと場当たり的という印象を持ちました。極めてリベラルなマーケティング会社だったので会社独自の風土もあると思われるにせよ、ISBの学生にも通ずる点なので、インドとしての傾向の一つなんだろうな、と思っています。

引っ切り無しに周りの人が話しかけてくる、電話もバンバン来る、という環境の中、集中して何か一つの業務に取り組みづらいような印象を持ちました。穿った見方をすると生産性自体は恐らく低く、この辺のインド人の仕事スタイルについては、一緒に仕事を進める上で軋轢を生む種になるとも思います。

仕事外での人脈構築の重要度は、相対的に低い?

Karia氏に、経営者だとランチや会食等が引っ切り無しに入ってるのでは?と聞いたところ、自分は客と食事することは殆ど無いとの返答があり、日本では考えられないなと驚きました。曰く、仕事をとるには良い仕事をするだけである、と至極真っ当なご意見で、無理して食事会をセットしたり、ゴルフに行く必要性は特に無いとのことでした。Tech企業ならではの部分もあるとは思われる一方、業務中は極めてコミュニケーションが重視される一方で、プライベートは経営者含めて自分のものという濃淡は、非常に興味深かったです。

まとめ

Schbangの仕事自体についても色々聞きましたが、正直一日オフィスにいて、色んな人から断片的に話を聞くだけでは付け焼き刃にもなっていないので、インド人の働き方を見ていて感じたところだけをまとめました。商売の一つに、インドのプレミアムIT人材の斡旋(アクセンチュアやTataよりもハイスキル)もやっているみたいで、この領域はもしかしたら日本企業にもニーズあるかもな、と思いました。

ムンバイまでわざわざ行ったり、そもそもShadow a CEOに参加するためにもコストがかかったりもしましたが、金額以上の素晴らしい経験になったので、今後ISBに来る方には是非是非おすすめしたいです。