小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

秋学期の授業振り返り(2年目)

そろそろ2年生最初の学期の終わりが見えてきたところなので、恒例の授業の振り返りをしていきたいと思います。今学期の授業は全般的に当たりだった気がします。

Presentation Fundamentals

英語プレゼンに苦手意識を持っていたので履修。授業は極めてインタラクティブで、絶え間ないCold callと、与えられたフレームワークを使ってパートナーとプレゼン練習を繰り返すという、極めて実践的なもの。プレゼンの授業を履修するぐらいなので英語苦手勢の留学生や比較的シャイなアメリカ人が多く、なんだか居心地の良い授業でした。第3回の授業からは5分−10分のプレゼンを人前で披露しました。

テクニカルな部分でも学びはありましたが、一番の収穫は英語プレゼンをやる自信がついたことのような気がします。英語で10分間人前で話し、クラスの中でもそれなりに笑いをとり、Awesome Presentationと褒められたことで、きっちり準備していけばなんとかなる、という小さな自信になりました。

Takeaway
  • コンテンツに自信を持つことが最も重要
    話し方なり構成なり様々に指導を受けますが、圧倒的に大事なのは結局話している内容だと痛感しました。自分自身が、「この内容を話したくてたまらない」とプレゼンを楽しみにするぐらいのマインドになっていれば、まず失敗はしないと感じました。
  • コンテンツの作り込みの作法
  • 自分の人生経験に紐付けて、自分自身のViewを語る
  • オーディエンスが興味を持つフックを作る(Visualization、Quote、動画、Poll等)
  • 特に、オーディエンスが飽きてくる中盤−後半にEngagement Pointを作る
  • アイコンタクトは一人2秒
  • 歩き回らない。もしくは、話題のTransitionのときのみ移動
  • Opening→Forecast→Body→Recap→Closing

Digital Marketing Strategy and Implementation

教授のLearning by doingの信念が随所で感じられた授業。セオリーを学ぶというよりは、実際にインターネット広告を出すにあたって一頻りのTipsを仕込まれた後は、実際にFacebook広告を出してみる(200ドルの予算をもらいました)、Googleの検索ワードの素案を作って教授にFeedbackをもらう、そして最後は実在する会社のデジタルマーケティングの改善策を策定する、等々、アウトプットの機会がふんだんに設けられた授業でした。

GoogleFacebookも大きなレベルでは共通する部分があり、最初は少額でA/Bテストを繰り返し、KPIを確認(CTRやCPM等)、うまくいくターゲット・テキスト・その他設定について仮説検証を繰り返して精度を上げていく、というプロセスと理解しました。話を聞くのと実際にやってみるのは大違いで、CANVAで素材を見つけてFB広告を作り、どれぐらいクリックされてるかを確認、改善案の検討、という一連の流れを経験できたのは良かったです。

授業を通じてスタートラインには立てた気がしますし、将来小さなスタートアップ的な組織で働くことがあるときに、組織に貢献する一つの武器になり得るかもなと思いました。

Customer Analytics and AI

Rで機械学習のモデルを組んで、顧客のアクションを予測してビジネス上のインパクトを出す、という授業。 Neural NetworkやRandom Forest等幅広にアプローチを学べるし、活用事例も様々で良い授業だなと思いました(進度が早く負担も大きいので、結構ついていけなくなってる人もいましたが)。

トピックは以下のようなものがありました。

  • 特定の商品の購入確率と売上の予測、顧客のターゲティング
  • 顧客のサービス解約率の予測

夏にSaaSのスタートアップで仕事させてもらって経験を踏まえると、オンラインでサービス提供している業態だったら結構そのまま活かせる様な気もします。基礎的な顧客データ(性別や年齢、職業等)と介入の有無(販促メールを送ったかどうか、等)、結果(実際買ったかどうか)の3タイプのデータが有ればモデルは組めるので、これを元に顧客の購入率や解約率から売上を試算したり、結果への寄与度が大きい変数を特定して打ち手を考える、といったことに使える気がします。顧客のターゲティングについても、コストが顧客数に比例する場合は、損益分岐点以上の顧客を狙う等、活用できる気がします(逆に、メールをバラまくといった施策の場合、ゼロコストに近いのでターゲティングを考える意味がどこまであるのか疑問に感じました)。

逆に、顧客データがないとモデルの作りようもないので、やはり機械学習の主戦場はインターネット企業なのかな、と感じました。また、そもそも分析しやすいデータ整備をするにはどうすべきか?みたいなポイントはMBAでは学べず、その点は少し残念にも感じてます。MBA生がモデルを組みまくることは想定しておらず、何が出来るかを理解して分析を提案したり、解釈することが想定されている様に感じるので、MBAでアナリティクスを学びたいと思ってらっしゃる方は注意したほうがいいかもしれません。この点はKelloggに限らず、他のスクールも同様だと思います。

Marketing Research and Analytics

これも良い授業でした。Rを使わずにRadiantというNon codeでRを動かすソフトを使いましたが、これがめちゃくちゃパワフルで、データの加工や一頻りの分析(因子分析や機械学習まで)全てクリックだけで完結できるという優れ物でした。日本語を読み込むとエラーになるので日本では普及しなさそうですが、5−10年後は似たようなツールが広がり、機械学習等統計的な手法がどんどん身近になっていくのかなと考えたりました。

授業自体は、アンケートの設計(質問の作り方やサンプル数の決め方)、因子分析、クラスター分析と行って、顧客のセグメンテーションを行うというところが一番の肝でした。アンケートが元なのでデータを作るところから出来る=即ち全て自分で1から出来るということで、サウナーのセグメンテーションに使ってみたりもしました。定量的に市場を分けてみて、それぞれどれぐらいお金を使ってくれそうか、どれぐらい自社商品を買ってくれそうか等示唆を出せるのは、非常に面白い手法だと思いました。

授業では、実際のクライアントのためにアンケートを実施、分析、プレゼンテーションまで行うので、実際に手を動かすところまでやらせてくれるのも良かったです。

その他、Backward Approachと呼ばれる、その分析からどんな意思決定をするか決めた上で分析設計をするという考え方は目から鱗でしたし、CPG業界で働くゲストスピーカーが定量分析をどの様に日々使っているか聞けたことも、非常に有益でした。

まとめ

今学期はどの授業も収穫があり、授業選択が思った以上にうまいこといってくれた学期でした。来学期からインドのISBに交換留学、最後の春学期はどこか面白い会社でインターンできればと思ってます。2年間も座学で授業受けてばかりだと正直飽きますが、学生があんまり飽き過ぎないよう、MBAというものはよく設計されているなとつくづく感じます。

ISBの紹介や、学校でどの様に過ごそうと思っているかについては別記事にまとめたいと思います。本日はこのあたりで。