小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

日本の英語教育で育った大人が、発音をどうやって改善するか

How I built thisというポッドキャストで、発音矯正に取り組んだアルゼンチン人の起業家の方の話を聞いて、最近発音矯正に取り組んでます。以前発音に取り組んだのはMBA渡航前なのでもう3年以上も前。このトピック、個人的に強い思いがあり、且つ役に立つ情報が日本語であまり出回っていないとも感じており、思うところを書いていきます。

そもそも、なんで英語の発音を良くしたいのか。実際的な理由として日本人発音の英語だと理解してもらえない、TOEFLやIELTSで点数が出ないといった話は勿論あるんですが、個人的には英語が流暢に見えて格好良い、逆に英語が上手いと思ってもらえず悔しい思いをした、というところがあります。「発音が綺麗で流暢なのは幼少期から海外で過ごした帰国子女だけ、大人になってから勉強している人間はどこまでいっても日本人発音」という構図、多くの人は疑問にも思わないのではないでしょうか。そして、どれだけ話せているかで、人はその人の英語のレベルを判定します。TOEIC何点とか英検1級とか知ったことではないのです。

自分自身、チビチビ日本で英単語帳で勉強してきて、「学生時代は英語を勉強していた」という如何にも駄目そうなガクチカで総合商社に入社したのでそれなりの自負もあったのですが、自分が英語で話すところを聞いた商社時代の上司からは全然大したことないな、という反応を受けたことが何度もありました。

こんなこともありました。当時私がいたシンガポールの駐在先では、ことさらに日本人発音を強調しつつゆっくりと現地社員で話す、という謎の風習がありました(全力で頑張って英語できてないと周囲に観られると、恥ずかしいからというのが恐らくの理由)。この現場を知人の帰国子女女性にたまたま目撃され、「あいつは英語がクソ下手だ」と後日飲み会で弄り倒され、袖を濡らしたこともありました。そんな時、「俺はTOEIC…点だぞ!英検…級だぞ!」と反応するほど悲惨なことは無いので、何を言われてもウワァ…と、ちいかわになるしかないのです。

前置きが長くなりました。言いたきは、実利だけでなく、ファッションというか、周囲からの見られ方みたいな部分も、非本質的ではあるんですが、正直あるよね、という話です。日本人は特に発音で人をジャッジする傾向が強いですが、アメリカ人相手でも発音が悪いと格下扱いされやすいのも悲しいですが現実です。そんな点を踏まえて、今日は自分が思う、日本人が発音で意識したほうが良いと思うポイントを書いていきます。

アクセントが無い母音の多くは、力ない「ア」で発音(所謂シュワ音ə)

個人的に思う、カタカナ英語と実際の発音のギャップを生む最大要因がこれです。英語はスペリングと発音が違う言語ということは皆さん知っているとは思いますが、日本人が思っている以上に我々はカタカナに引っ張られています。例えば、Universityという単語。スペルに基づいて、「ユニバーシティ」とカタカナで表記され、多くの人が実際に「ユニバーシティ」と発音しているのではないでしょうか。

が、この単語を発音インフォというサイトで確認すると、jùːnəvə'ːrsətiと書いてあります。このサイトの「発音の目安」というところでは、「ユゥーナァヴァーサァティィ」とあります。私的には、「ユナバーサディ」が直感的につかみやすいと思います。「ユニ」ではなく「ユナ」、「シティ」ではなく「サディ」が近いです。

universityの発音記号と読み方: 英語の発音インフォ

こんなことが発生するのは、この単語のアクセントがverにあり、最後のTiを除くそれ以外の母音はシュワ音となっている為です。Universityに限らず、アクセントが無い母音の多くが、英語ではシュワ音、日本語で説明すると力なく発音した「ア」みたいな音になります。厳密なルールや例外等は後で紹介する本を読んで頂くとして、とりあえず「アクセントが無い場合の母音はアになることが多い」というのを頭の中に入れておくと良いと思います。パッと思いつく、同様にカタカナ英語に引っ張られているシュワ音単語として、Anniversaryとかもそうですね。

anniversaryの発音記号と読み方: 英語の発音インフォ

Rの発音は手前の母音に干渉する

個人的に思う、カタカナ英語と実態が乖離する原因の第2位がRです。子音の中でも、RとTは特殊要因が多いので英語のきちんとした本で学習することをおすすめします。日本の発音本できちんとした本は、残念ながら見たことがありません。

そもそも、Rの存在をカタカナではすっ飛ばすことも多いのでは無いでしょうか。「エクササイズ」はExcercise、「サバイバル」はSurvivalで、手前の母音と引っ付いてきちんとRの音を出さないとおかしいです。

で、この手前の母音とRがくっつく時のルールとして、①アクセントの無いer、ir、ar、ur、orは同じərの発音となることと、②ərとarの区別がつけられるようになれば良いでしょう(Orは流石に区別がつく)。

まず①から。Cooler、Firm、Effort、Calendar、Turnで、全て母音+rの発音は同じです。口を小さめに開けてR音を出します。②のポイントとして、Arにアクセントがある場合、Erとは違って口を大きく開けてR音を出す必要があります。FirmとFarmはどっちも「ファーム」と表記されますが、音の出し方が違うんですね。

最後に、Rが手前の母音に鑑賞しつつ、子音としての発音されるケース。SorryとかFuryとかですね。Sor-Ryといった格好で、Soreと最初に発音、その後Riの音を出す様に、Rが一人二役を負っていることに注意が必要になります。

T、アクセントがない場合はDとして発音されるケースが多い

Rに次ぐ問題児がTで、最もアメリカ英語らしい変化の一つ、T→Dの変化があります。WaterのTerの部分が「ダー」と聞こえるやつですね。アクセントがない場合のTは、Dになるもの、と思っておいて大外れはしないはずです。上でも例に上げた、University等、「‐ity」は名詞の形として超頻出ですが、「アディ」の音となると思っておくと良いです。コンサルが好きな、Capabilityは「ケイパビリティ」ではなく、「ケイパビラディ」の方が近いです。

Tはその他に、発音がスキップされるケースが多いです。単語の最後がTの場合(Cutとか)はスキップされたり、Lately、PortfolioとかもTがあるところは間を置いて、発音しなかったりします。

変則的なスペルの母音を覚えておく

最後、母音に騙されるタイプのスペルを覚えておくと、発音を間違える可能性が減ります。a、æ、əはどれがどれだったか忘れやすいです。Talkは日本語でも「トーク」とされていますが、よく考えるとalなのにaと発音されているのは不思議です。Law等のAwもaで同じ。Knowledgeもナーリッジみたいに、aで発音します。このスペルだとこの母音になることが多いんだな、というのが頭に入っていると覚えやすいです。

おすすめ改善方法

上記が、パッと思いつく、日本の一般的な英語教育/教材でカバーされておらず、しかしながら伝わる英語を話すために大事だと思われるポイントです。上記は知っているかどうかでかなり雰囲気が変わると思います。勿論知識だけではなく、R・L・THといった音自体が上手く出せるようになるかという、反復的な取り組みが必要になるものもあるんですが、日本人の発音が悪い理由としてはこういったスキル的な面よりも、上で挙げた様な知識不足による方が大きいと思います。

最後に、発音を実際にどう改善していくかを書いていきます。言うまでもなく私も改善中の身ではあるのですが、参考になる方がいれば嬉しく思います。

大きく分けて、改善は①知識の習得、②他人からフィードバックを受ける、の2ステップになると思います。知識の習得は洋書がおすすめです。以下は、自分が読んだ中でも分かりやすく、特にAmerican Accent Trainingはこの領域の定番本と言われています。複数載せましたが、どれか一冊でも全然良いと思います。

②のフィードバックを受けるというポイントは、外部サービスの活用をおすすめします。AI系のツールが出ているのも目にするのですが、個人的にはあまり効果を実感できなかったので、アメリカ人から直接フィードバックを得られるサービスの活用をおすすめします。手軽で安いのがSpeechilingというサービス。アプリに英語を吹き込むと、24時間以内にアメリカ人から「…の音がおかしい」と指摘を受けることが出来ます。もう一つはまさに自分が今やっているものですが、Accent Advisorというサービスで、週39ドルで25分×2回、発音専門で教えているアメリカ人から教えてもらうことが可能です。何度も書きますが、日本で読んだ発音本や、発音矯正サービスはあまり良い思い出が無いです。

本日はこんなところで。