Halal Guysという店をご存知でしょうか。黄色の背景に赤字というアイコニックな店舗を展開してるファストフードチェーンで、米国内外に100店舗を構えています。人気メニューは「チキンオーバーライス」で、チキンスープで味付けしたご飯にレタス・トマト・ピタパン等＋肉（牛肉、鶏肉等）をトッピングしてソースをぶっかけて食べるというもの。至ってシンプルなんですが、不思議とスプーンが進む逸品です。
このHalal Guys、どんな会社なのか調べてみたところ、ド直球American Dreamの、移民サクセスストーリーが裏側にあり面白かったので、こちらで記事にしたいと思います。
Halal Guysの創業ストーリー
3人のエジプト移民が1990年、マンハッタンにて創業。3人は元々レストランやタクシー運転手として働いていた様です。最初はフードトラックでホットドッグを提供していたものの、"Hot dog is not a meal"との気づきを得てピボットを決意。当時、NYのタクシーの運転手はエジプト系やパキスタン系といったムスリムが多かった一方、彼らが宗教上口にできる「ハラール」の食べ物を見つけるのに苦労していたことから、マンハッタンでハラールの食事を提供しよう、と決めた様です。
Halal Guysが提供するPlatterの味は、タクシー運転手を起点に口コミが口コミを呼び、大ヒット。今では店に訪れる95％はムスリム以外となり、ムスリムコミュニティを超えてNYを代表するB級グルメへと成長しました。
コンセプトの特徴
CEOのAhmed Abouelenein氏が以下インタビューにて語っていたHalal Guysの特徴は2つで、HalalとFreshnessが肝とのことでした。
A Deeper Dive: How The Halal Guys found its name—and its growth on Apple Podcasts
2つは相互に関係していて、ハラールだからFreshで美味しい、という面もある様に聞こえました。日本人的にハラール（イスラム教の戒律上で許される食事）の概念は理解が難しいのですが、単に「豚肉は駄目」「牛肉はOK」という品目レベルで区別されるだけではなく、イスラム法に従って食肉処理がなされている必要があります。Abouelenein氏いわく、だからこそ、ハラールの肉はCleanで美味しい、とのことの様です。Freshnessという観点では、作りおきはせず、注文を受けてから調理することを徹底しているのも、味の違いを生んでいる、と説明していました。
Immigrant storyとして凄い点
ここからは個人の感想も入りますが、Halal Guysが凄いのは、飽くまで中東料理ではなくAmerican Halal Foodとして売り出していることだと思います。要は、「日本で売っている本当の寿司」「カリフォルニアの味」みたいなAuthenticity売りに、ブランディングを頼っていない。ここが凄いと思うのです。
Halal Guysを有名にした一因は調理工程の最後にかけられるホワイトソースですが、これについてGMのHesham Hegazy氏はこう語っていました。"It's not traditional. It's what Americanized our halal food, and what I think popularized it for non-Muslims." 伝統的な側面を残しつつ、ムスリムコミュニティを超えて愛される味を作り上げたことが、Halal Guys成功の背景にあります。
日本の食も、アジアでは「日本のAuthenticな味」が受け入れられることが多い一方で、アメリカで大きな成功を収める企業は必ずしも多くないのが現状。そんな中で、Halal Guysは一つ参考になるケーススタディーではないでしょうか。
Halal Guysは2014年にフランチャイズ化してから出店を一気に加速。向こう数年で国内外に400店舗をオープンさせる計画の様ですが、イギリス・マレーシア・インドネシア・韓国には出店があるものの日本出店予定との情報は残念ながら見つかりませんでした。検索してみたところ、筑波大学の学生の方がHalal Guysの味に感銘を受けて東京に店を出しているようですので、日本帰国時には是非挑戦してみたいと思います。
[日本初]ハラール認証取得のキッチンカー"Mr.HALAL"が大手町・丸の内エリアに出店！~Mr.HALAL~2月10日にグランドオープン｜Mr.HALAL株式会社のプレスリリース
