小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

MOD Pizzaというピザチェーンについて

最近How I built this というPodcastにハマり、通勤中やトレーニング中にずっと聴いてるのですが、特に良かったのがこちらの回。MOD Pizzaという、全米で500店舗以上を構え、急拡大しているピザチェーンの話です。スタバがヨーロッパ進出する時、Seattle Coffeeというヨーロッパで展開していたコーヒーチェーンを買収して市場に参入したのですが、Seattle Coffeeを始めたのがMOD Pizzaの創業者夫妻。その後Seattleに戻ってファンド投資をしていたところ、ピザに商機を見出してリーマンショックに沈む2008年に起業。今に至る、というのが概略です。

実際ピザを食べてみると、確かに美味いんですね。ピザ生地が薄くクリスピーで食べやすい。価格がピザのサイズ毎に一律で決まっていて、肉や野菜等、30種類のトッピングを好きに選んでカスタマイズ出来る。価格自体も安くて、そんなに食べない人なら10ドルいかない6インチ、結構食べる人でも11インチが10ドルそこそこで食べられる。日本円に直すと驚く様な価格ではないですが、10ドル前後で美味しく、(トッピングのチョイスによっては)ヘルシーなものでお腹を満たせる外食は、アメリカではかなり貴重です。ラーメンなんて食ったら25ドルしますし。

MOD Pizza HPより

Podcast受け売りですが、面白いなと思った点をザッと書いていきます。

Fast Casualをピザビジネスに持ち込んだ

アメリカではFast Casualと呼ばれる、ファストフードみたいな価格で、オープンキッチンで客がカスタマイズしつつすぐに食べ物が出てくる、という業態がとても伸びています。Chipotleが一番有名ですが、Halal Guysとかもこれ。

創業時にアメリカの外食事情を調べたところ、ピザはアメリカ人が2番目に愛する食べ物(1位はハンバーガー)。ところが、世の中にあるのはa)店で座って食べる、出てくるのが遅くて高いピザか、b)チェーンのピザ屋で食べる、出来合いのものが再加熱されて出てくるピザだけで、どっちをとっても客にとってベストな店にはなっていないじゃないかと、創業者のScottとAllyはは気づく。そこで、Subwayみたいに客が食べたいものを選べばピザ自体の準備は完了、そのまま巨大ピザ窯で3-4分焼けば完成、というオペレーション効率の高いファストカジュアルのピザ屋を考案したという経緯です。

当初は、夜に食べるイメージの強いピザがランチで勝負出来るのか、出来たとして、SubwayやChipotleと違って窯で焼く必要のあるピザという食べ物を提供して、沢山の客を捌けるのか、という点に心を砕いた様です。

実際に行ってみて、30人以上は座れそうな大きな店舗だったのですが、夕方時は店員二人で回していました。プロセスを標準化、効率化して少人数で回せるようにして、人件費を圧縮。ピザ窯は一回で15-20程度のピザを一気に焼くことが出来るそうです。ピザという商品の強みでもあると思いますが、Ubereats等デジタルでのオーダーも多く、単価を抑えつつも利益が出るモデルになっている様です。

デカいピザ窯
他所で採用されない人を採用

刑務所から出所間もない人物や、障害者、元ホームレス等、他の場所では敬遠されるバックグラウンドの人を採用することでも知られている様です。この背景についてAllyは、「(既に裕福だった為)起業しなくても良いところから敢えてビジネスを始めているので、どんなインパクトを社会に与えたいかを真剣に考えた結果、今の採用の形となっている」という旨話していました。こういう、億万長者がSocial Impact的な観点で起業するというのも、日本ではあまり聞かないパターンな気もします。

日本のものでFast Casualをやるなら

あとは雑談ですが、日本の料理でFast Casualをやるなら、何がアメリカで成功するんでしょうね。既にあるもので一番それっぽいのが丸亀製麺はなまるうどんみたいなうどんチェーンだと思いますが、アメリカ人は生卵あんまり食べないから釜玉うどんとか流行らなさそうですし、出汁の味みたいなSubtleなものが売れるかもやや微妙な気がします。Bostonにある夢があるからといううどん屋は絶品で大人気でしたが、行列の殆どはアジア人でした。それでも商売にはなるんでしょうが、Chipotleみたいな成長は望めない気がします。

ラーメンとか、油麺とか、カツ丼とか、味が強くてアメリカ人にも売れそうなもので、Fast Casualアレンジした業態だったら商機があるのかな。海外在住日本人との雑談トピックとして、聞いてみたいと思います。