小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

書評:Bully market

今回の書評はGSに18年間勤め、MDまで昇進されたJamie Fiore Higgins氏の暴露本です。長期間の勤務、しかも華々しく活躍されたとのことで功罪両方書きそうなところですが、実際にはGS批判がエンジン全開、フルスロットルで展開されていく一冊です。毎年100万ドル以上稼ぎ、GSで重要な職務を担当しているのに、公私共に全く幸せそうに見えないのが凄いです。

本書の時間軸は90年代後半〜2010年代半ばの為、あからさまな女性差別や人種差別は減っていると思われる一方、著者は根底に流れる文化は変わらないと後書きで断言していました。

差別の中身について、現代日本で聞くような酷い話が多く、Toxicな企業文化というのは洋の東西を問わず同じ様な形態を取るのだなと思った次第です。企業文化、価値観について、欧米の数年遅れで日本に定着してくるのは良くある話なので、日本も少しずつ変わっていくんだろうなと思いました。

印象的だった話
  • 同期入社だった男性二人より昇進が早かったことから目の敵にされ、「お前の昇進が早いのは女性器がついているからだ」といった暴言を吐かれる。
  • 昇進タイミングで”Personal disruption”は望ましくないとされ、子供を産むことに暗に反対を受ける。
  • 子供の写真をデスクに置くのはGSのMDとして相応しくないと指導を受ける。子供への授乳も許されず、授乳を下品に揶揄されることも。
  • 幼い子供の為に早退していた、チームで最も生産性の高い男性社員について、「あいつはPart timeで働いている」との理由で減給。
  • コネ入社の存在。大きな取引先の子女は別ルートで入社。負荷の低い仕事しか振られない。
  • 枕営業の存在。”At Goldman, sex will propel you further than an Ivy League Diploma”と言われた。
  • 移民家庭の父親が数十年かけて到達した年収を初年度で超える。
  • 同じ部署のMDが泥酔し、バーにいた黒人男性に人種差別発言を行ったことを社内部署に告発したことが上司に露見。”we solve family problems within the family”と厳しく叱責を受け、以後、人事評価が顕著に悪化。退職を決意。