小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

書評+自分語り:So good they can't ignore you

先日こんなことを呟いたんですが、つくづく自分はArtisticな才能に恵まれなかったなと感じていることもあり、人とは違う情報ソースからインプットを続けていかないとな、みたいなことを最近漠然と考えています。

そんな流れから、日本で読まれていない面白そうな洋書からインプットしていくと日本で働く人には無い視点が養われるかな?と思い、一冊読んでみました。丁度オファー吟味中なこともありキャリア論に興味があったので、Amazonで評価が高かった、"So good they can't ignore you"を買ってみました。結論良い本でしたが、読み終わって調べてみたら邦訳出ててガッカリ、というオチでした。

So Good They Can't Ignore You

So Good They Can't Ignore You

Amazon

中身についての自分の理解を簡単にまとめつつ、自分の状況と照らし合わせて書いていきますが、本の要約には全然なってないのでそこはご了承下さい。

何も考えずにPassionを追うな

この本のコアメッセージは、何も考えずに夢/Passionを追うと人生持ち崩しかねないよ、というものです。「好きなことをやるな」というものではなく、きちんとステップを踏んで、計画的にやろうね、という話です。定年退職したおじさんが退職金をぶちこんでラーメン屋を始めたり、若手JTC社員が突然会社を辞めてプログラミングスクールに行く、みたいなのが良くない夢追い例の典型例でしょうか。

著者のCal氏は、Career Capital = RareでValuableなスキルを築くことにまず注力しろ!と説きます。人が金を払ってでもあなたを雇いたくなる状況になってから、自分で人生の手綱を握れるようになるのです。具体例として、テレビ作家になりたい人がアシスタントの立場から実際の作家から認められるまでアイディアをPitchしまくった話や、CleantechのVCで活躍するキャピタリストが、大学時代に脱炭素関連の研究をリードしていた教授のアシスタントとして、研究に没頭した話が出て来ます。そうして面白いドラマの筋が書けるようになったり、ニッチな技術の第一人者となってコンサルが出来るようになって初めて、「やりたいこと」に目を向けたら良い、という訳です。

ではそのCareer capitalを構築するのはどうすれば良いの?って点が難しいわけですが、著者は①沢山Feedbackを受ける ②Comfort zoneの外で仕事をする ③自分が仕事をする領域ではどんなCareer capitalが必要とされているか特定しろ、等アドバイスをします。まあ正直ざっくりしてると思いますが、この辺は一般化するのも難しいと思うので、各々が仕事する中で見つけていくしかないんでしょう。この本の主眼ではないです。

Autonomyを持て

そうしてCareer Capitalを築いたところで、自分にとって望ましい人生をデザインしていくことが可能になります。世界各地を旅しながらスポット的に案件を受注してのびのびと暮らすエンジニアになったり、付加価値の高い農作物を作れる、人気の農場経営をする人たちの例が本では紹介されています。自分が十分なCareer Capitalを得たかをどう判定するかと言うと、金を中立的な尺度と捉え、人がお金を払ってでも自分のスキルを買おうとするかどうか、を見る必要があるとしています。Career Capitalが無い = 稼げるスキルもないのに夢を追うと大体失敗するし(よくあるTrap no.1と著者はいいます)、逆にCareer Capitalが出来てから辞めようとすると上司のブロックに合う(Trap no.2)ので注意する必要があります。

Missionを持て

そうしてスキルを持ち自由度高く仕事が出来るようになったら、Missionを持つと良い、と著者は説きます。Little betsと著者が言う、短期のプロジェクトで周囲の反応を見つつ、周囲の人がすげえ!という様な仕事をしていけたら良いよね、という訳です。これを筆者は、Remarkableな仕事、Purple cow(他とは違う目立つ仕事)と称します。

自分の状況と照らし合わせて

以上がこちらの本で語られているメッセージの、ざっくりとした私の理解です。本の内容を受けて、今の自分のスキルセットも簡単に整理してみました。

  • フルタイムでやっていたFinance/Accounting/リスク管理は如何せんコストセンターの仕事であり、給料を上げていくのは難しい(社会主義的なサラリー体系になっている商社では、良い給料を頂いていたが)
  • その他インターンでやっていた経験は、当然ながらどれもせいぜいエントリーレベル
  • 英語・中国語は単体では出来る人が日本語話者に限っても数十万・数百万人単位でおり、勉強法をマネタイズしている人も沢山いる(カス情報多いけど)。RareでValuableなスキルとは言い難い
  • キャリア自体を売り物にするのは、商社・MBAあたりは既に人がそれなりにいて、難しい。アメリカ就職は日本人だとまだ少ないのでマネタイズ出来るのかもしれないけど、自分のキャリアパスをマネタイズするのってやっぱり抵抗あるし、個人ベースで無料相談受けてるぐらいが心地よい

と考えてみて、どう見ても今時点でRareでValuableなスキルは無いので、MBA後しっかりCareer Capitalを築いていく必要があるな、と改めて実感します。まああとどうでも良いですが、Career Capitalがない人が自分のCareer path自体やあんまり価値の無いスキルセットを価値のあるように誇大宣伝して、情報商材やらを売りつけてるんだな、とも思います。

これからどのようにCareer Capitalを築いていくか

中長期的に見て日本に戻ることにはなるかな、と思っているので、アメリカでの仕事では、以下の様な経験が積めたら良いなと思っています。

  • 日本では一般的ではない技術を活用したビジネスモデルを深く理解する
    NetflixAmazonQRコード決済等、海外で広がって日本で活用が広まった例は近年でも多いですが、アメリカで新しい技術に関わるStrategy・PMとしてビジネスモデルを深く理解できれば、他の日本人が出せない付加価値に繋がると思っています。
  • 日本では一般的ではない技術や思考様式にもとづき、より精度の高い意思決定を行う
    AIを使った顧客のターゲティングの様に、アメリカのビジネス現場で先に導入が進む仕事のやり方をいち早く慣れ親しめたら良いな、と思います。
  • グローバルなチームでのマネジメント経験
    2022年の今でも、英語でグローバルチームのマネジメントが出来る日本人は希少。

まあ自分で書いていて雲をつかむような文章になっていると感じますが、実際に業務に取り組む中で、もう少し掘り下げて、固有名詞で目指すものを語っていけるようになれたらいいなと思います。