小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

アメリカのペイメント業界に詳しくなりたい

願望50%、決意表明50%みたいな記事です。長文です。

ここ1−2週間、個人的にかなり大ヒットの文章に立て続けに出会うということがありました。

Sam Altman(Chat GPTを作っているOpen AIのCEO)の記事は個人ブログの中での成功論、東大のは新入生に向けたスピーチの書き起こし、最後のはスモールビジネスのHow to本なのでそれぞれ全く別ジャンルですが、共通のテーマがありました。それは、「世間一般の尺度ではなく、自分の判断軸でキャリアを選べ」というものです。

Be internally driven. Most people are primarily externally driven; they do what they do because they want to impress other people. 

- Sam Altman(How to be successful) 

「夢」について皆さんにお伝えしたいことは2つです。1つは、夢に関わる、心震える仕事をして欲しいということ。修行のために敢えて途上国の支援とは関係のない仕事をしたときに実感したのですが、自分の夢に関わる本当に好きなことをやらないと、それを徹底的に突き詰めることはできません。また、好きなことをやってないと、幸せの尺度が「自分が他人にどう評価されているか」になってしまう。それではうまくいかないときに持たないです。他人の評価を気にする他人の人生ではなく、自分がやりたいことに突き進む自分の人生を生きてください。

- 馬渕 俊介 (令和5年度東京大学学部入学式 祝辞)

大手企業もベンチャーも小さな市場を積極的に選ぶことは出来ない。(中略)。基本的に情熱のあるプレイヤーは極めて少ない。情熱のある新規参入者が稀に見られるが、ここに特化するということはほぼない。そこに情熱を持って参入するのである。この構造的に競合が手薄になる市場を狙い撃ちにするのが、スモールビジネスの基本戦略である。

- 武田所長(スモールビジネスの教科書)

この人に合わせず自分の尺度を持てという話、2つ要素がある気がしており、1つは幸福論、もう1つは成功論の要素があります。即ち、「日々充実感を持って過ごす為に自分の人生を歩め」という幸福論と、「職業人として、他人と同じことをしていては大成しない」という成功論です。馬渕さんは主に前者、スモビジ本は主に後者、Samは両方の要素をカバーしている印象です。なんで他人の尺度で生きては駄目なのか、Samはこう語ります(引用ばっかですみません)。

First, you will work on consensus ideas and on consensus career tracks.  You will care a lot—much more than you realize—if other people think you’re doing the right thing. This will probably prevent you from doing truly interesting work, and even if you do, someone else would have done it anyway.
Second, you will usually get risk calculations wrong. You’ll be very focused on keeping up with other people and not falling behind in competitive games, even in the short term.

Samが”Consensus career tracks"と呼ぶ、世間で良しとされているキャリアの欠点は、面白い仕事が出来ないこと(もしくはいずれにせよ自分がやらずとも他の誰かがやる)と、他人ばかり気にしてリスクが取れなくなること、と指摘しています。

なんでペイメント業界か

打って変わって自分の話ですが、私はクレジットカードの商売が一番メインの金融機関でStrategyの仕事をしています。就活の時はアメリカで仕事を得ようと必死だったので業界について拘ったりはしておらず、Analyticsの要素・Strategyの要素がある仕事という、Roleに比重を置いて今の仕事を選びました。正直、クレジットカードに情熱はないですし、ミーハーな人間なので「クレジットカードの仕事をしている」と話す時に多少の引け目を感じることもあります。特に、前職の総合商社では手放しで称えてくれる人と遭遇することもありましたし、周りのMBA生はPEやらVCやらマッキンゼーやらGoogleやら、何やら格好良いところで働いているということもあるので。

が、改めて考えてみて、クレジットカード業界、もう少し視点を上げて広くペイメント業界というのは、深堀りしていくと面白いのでは?と最近考えています。

1.注目度が低い

クレジットカード会社に就職と聞いて、どんな印象を受けるでしょうか?恐らく、何の印象も抱かない、へーそうなんだとなる人がほとんどではないでしょうか。車や小売や飲食と違って、カードというのは極めてInvisibleで、敢えて意識することは少ないと思います。

今、ザッとGoogleで「Visa ビジネスモデル」と検索してみましたが、正直あまり大した記事は出ません。Visaがどうやって儲かっているか、説明できる人ってあんまりいないのではないでしょうか?

でも実は今、世界で一番時価総額が大きい金融機関は、ゴールドマン・サックスでもJPモルガンでもなく、Visaです。2位のJPモルガンに次いで3位につけるのはMastercard、14位にAmerican Express、21位にPaypalがいます。ここまで、全て日本最大のMUFGより大きい会社です。

Largest financial service companies by market cap

商品・サービスに対してお金を払うという経済活動の根源を、世界規模で抑えているこれらの会社は極めて巨大である一方、電力やガスや水道と同じであまりに生活に溶け込んでいる為に、多くの人の意識の外にあります。重要性に比して脚光を浴びることが少ない、だからこそ深堀りして詳しくなると良いんじゃないか、そんな風に考えています。

2.自分の持っているものとの掛け算が活きやすい

(a) 現在の仕事との親和性

今まさにアメリカのペイメント企業で働いているので、社内外でビジネスについて学び、ネットワークを作る機会が豊富にあります。また、この業界について学んで発信することも、本業とシナジーがあるので罪悪感がありません。

(b) 英語

上記の日本のGoogle検索で情報が出てこないという話は、業界の中心にいるVisa、Mastercard、American Expressといった会社がアメリカ企業であること、特にVisaとMastercardの上場が2000年代と極めて最近で開示情報が少なかったこと、また日本拠点も然程大きくないこと等が関係していると思います。平たく言うと、英語がボトルネックになっています。

クレジットカード業界に関する本は日本語・英語それぞれ複数読んでみましたが、率直に言って情報量がまるで違います。英語で専門書を読むことが(然程)苦にならない、という自分のスキルのメリットが大きいフィールドだと思います。

(c) 金融

過去の仕事が大企業で財務の仕事だったので、決済や金融取引について、多少の土地勘があります。

(d) 財務分析

前職の経験とヘッジファンドでのインターンMBAを通じて、多少財務モデルを組んだり、財務諸表を読んだりすることが出来ます。

上にリストアップした各々、自分より凄い人はいくらでもいると思いますが、掛け算していくと対象者があまりいない、だからこそ日本語で大した情報が無いんじゃないか、と思っています。

今後何を目指すのか

ということで、ペイメント業界について専門書を読んだり、社内のリソース使って人に聞いたりセミナーに出たり、業界のプレーヤーについて財務分析をしたりして、こちらのブログに記事にしていくつもりです。目標は高く日本人としてアメリカのペイメント業界に最も精通した人間・アメリカでも業界のBusiness analystとしてトップ1%だと言えるぐらいまで、成長できればと思っています。

その先何があるかは分かりませんが、上の目標に近いところまで行けば、個人名で仕事が取れたり、Fintechの商売を構想したり、ということが出来るのではと期待しています。

大きく出ましたが、突然レイオフに遭うかもしれませんし、ビザが続かないかもしれませんし、転職したりもあるかもなので1年後すら分からない身ではありますが、思い立ったが吉日、そんなこと言ってたら長期目標なんて立てられないので、ここに思いの丈を記しておきます。

(脱線)ちなみにサウナも詳しくなりたい

ちなみに、アメリカのサウナ事情についても一番詳しい日本人になりたい、という野望も最近持っています。このブログ、MBAブログとして始まったものの、どうやら「サウナ アメリカ」で辿り着く人が最も多いらしく、さっき検索してみたらGoogle検索のトップ1、2をとっていました(ちなみに下にスクロールしたら出てくる、Kelloggの在校生HPのシカゴのサウナ記事も私の記事です)。

こんなSEO対策もクソもない泡沫個人ブログが一般名詞のSEOで上位を取れるくらい、アメリカの日本語サウナ情報は希少ということなのでしょう。現地のサウナ訪問やサウナの英語記事・Podcastで情報収集して、サウナ総研の人とも話したりしていれば、ユニークな情報が今後も提供できる様に思います。

サウナの方はほぼ趣味ではありますが、こちらも名指しで仕事が舞い込むようになったら面白いと思うので、今後も継続して記事にしていければと思います。