小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

なんでインドでは嘘によく遭遇するのか

過度に一般化するつもりは無いですが、日本やアメリカと比較して、インドにおいて「嘘」に遭遇することが多いというのは、疑いようの無い事実だと思います。リクシャーの運転手はほぼ確実に吹っ掛けてきますし、カンニングは公然の事実として社会全体で蔓延してますし、日本企業が不正の被害にあった、という話もそこかしこで耳にします。

何故か?という問いの答えとして、よく挙げられているのは貧困と競争社会という、社会的な要因です。外車を乗り回すGoogle社員が働くオフィスビルから1分歩くと、物乞いをしている人がいる国です。カンニングの背景を考えると、教育を受けて良い大学、良い企業に入ることこそが、困窮の連鎖を断つ唯一最大の手段と考えられており、親族の期待を背負った子供のプレッシャーは相当なものと想像されます。そこで、学びを得るという目的がテストで良い点数を取ることにすり替わり、カンニングが正当化される、という構造があります。

上記が様々なメディアでよく目にする説明ですが、以下記事では、少し違う視点で説明がなされており、面白いなと思いました。

こちらのライターの方は、この様に書いています。

”If you don’t exploit, then you will automatically become the exploited"(搾取しない者は、自動的に搾取される側になる)

すなわち、殆ど皆が嘘を付く結果、自分も嘘をつくようになると。皆がカンニングしている時に自分がやらないと相対評価で成績は下がりますし、旅行者をぼったくるリクシャー運転手も、リクシャーを修理に出す時にはぼったくられているのかもしれません。先の記事ではこの状態を指してEquilibrium(均衡)と表現しており、皆がCheatし合う社会に落ち着いている、という訳です。

とはいえ、人に騙されるのはやはり気分が悪いですし、また不正を防止するには、二重三重のチェックシステムを導入する必要がある等、社会的なコストを伴います。

私自身は、この均衡を壊すのは、Tech企業を始めとした大企業の事業拡大だと思っています。Uber経由でリクシャーを予約すれば価格はFixされますし、スタバやChaipointといったチェーン店でTeaをぼったくられることはありません。ローカル企業よりも厳しい規制の下にあり、テクノロジーの活用も進んだ大企業が存在感を増していくと、生活する中で騙されることは減るのではないでしょうか。そうすると、人を騙そうというマインドも薄れ、均衡が崩れていくのだと思います。

10年近く前にインドを旅行した時はUberは普及しておらず、毎度ふっかけてくる運転手とのバトルが発生してましたが、今回のインド滞在ではUberにより相当楽をさせてもらっています。仕組みとして不正を予防するサービスが普及するにつれて、次の世代のインドの人のマインドも変わっていけば良いな、と願っています。