小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

十数年ぶりに韓国を訪問した感想

メリークリスマス。世間は12月24日、一年の内最も浮ついた雰囲気になるこの日ですが、私は韓国ソウルを旅行しています。年末恒例の日本一時帰国中だったのですが、諸事情により今回は一人帰国となり存外に時間に余裕があったことから、お隣韓国に足を伸ばしてきた、という次第です。色々気づくことがあったので、以下に感想をまとめていきます(結構長くなる予感がします)。旅行に先立って、以下本を読んでいったところ大変参考になったのでおすすめしておきます。

街に若い人が多く、活気がある

日本以上の超少子高齢化社会、というイメージで訪問したが、ソウル中心部は10代、20代の若者で溢れており、活気があった。旅行者として渋谷や六本木みたいな場所のみを訪問しているので東京とのフェアな比較は土台無理ではあるものの、東京より(イコール日本の平均より遥かに)社会の重心が若い世代にあると感じた。

ググってみたところ上記はデータと整合的で、65歳以上の人口比率が日本は28.7%に対し韓国は15.8%と大きな開きがあった。韓国の出生率が日本を下回り始めたのは2000年代前半ということなので、今の20代までは日本よりも厚みがある。人口動態の違いが街の雰囲気、ひいては新しいものを受け入れたり、創っていく社会としての勢いの様なものに繋がっているのかも、と感じた(ただ、今後10、20年で韓国も急速に老いていくので、雰囲気は大きく変わるのだとも思う)。

図録▽韓国の人口ピラミッド

韓国の出生率、22年は過去最低の0.78 OECDで最下位 - 日本経済新聞

東京より外国人労働者、旅行者が少ないと感じた

上記の通り前提が少し違っていたのだが、当初自分は韓国は日本同様の超少子高齢化社会と思っていたので、その上で経済成長が続いているのであれば、当然移民も日本より多かろう、と想定していた。実際は、Uberの運転手やコンビニ店員、ホテルの清掃員といった、アメリカどころか日本でも外国人に置き換わり始めている仕事も韓国人が従事しており、思ったより移民が少ないと感じた。また、外国人旅行者も目にしないということは無いが、東京や大阪と比較するとそんなに多くないように思われた。

まず外国人労働者から見ていくと、韓国は92.3万人、日本は182.3万人で、人口比で直すと大体同じぐらい。日本も多くは無いので大きく違和感は無いものの、体感では韓国の方が少ない背景は不明。工場等、一般の人の目に触れないところに多いのかも知れない。

Statistics Korea’s Survey Shows 1 in 3 Foreign Workers Earns 3 Million Won per Month - Businesskorea

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省

旅行者についても体感は間違っておらず、2023年10月は韓国は123万人、日本は252万人と、2倍以上の開きがあった。ソウル以外訪問したことすらない自分にはフェアな比較は出来ないものの、確かに観光の見どころ自体は日本の方が多い気がする。

Foreign visitors to S.Korea on course to top 10 mn milestone - KED Global

https://www.reuters.com/world/asia-pacific/japan-sees-252-mln-visitors-oct-exceeding-pre-covid-levels-2023-11-15/

物価、明らかにソウルの方が高い

東京・ソウル共に4つ星ホテル(のなるべく安いところ)を探して予約したところ、東京では1.5万円程度のところが見つかった一方、ソウルでは3万円弱の出費となった。ケンタッキーでセットを頼むとソウルでは1,100円もした。「円安だから一時的」という指摘も(妥当性は置いておいて)有り得るが、そんなレベルでは無い差といって良い。以下、Cost of living comparisonなるサイトで比較しても、東京よりソウルのほうが大分高く、体感にも合う。

Cost of Living Comparison Between Seoul, South Korea And Tokyo, Japan

テクノロジーを活用した省人化が進んでいる

ソウル中心部でフラっと入ったカフェ、50−60人ぐらい入るキャパがありそうな大きなカフェだったのだが、2人で回していた。注文とレジの手間を、店内のクソデカ端末で客に入力させることで省力化している様だった(表示が韓国語だけで難儀したが)。適当に入ったキンパの店やKFCも同様だった。こういったテクノロジーの活用が生産性向上に繋がっているのだろう。

看板や音声案内が英・日・中併記となっていて便利

街中で見かける看板や駅の音声案内が、英語だけなく中国語・日本語表記されているパターンが多かった。日本で韓国語・中国語の看板を見るよりも遥かに多い。旅行者数で行くと中国・日本・台湾がTop3らしいので合理的ではあるものの、日本にしたって中国・韓国・台湾が上位3カ国になるのだから、同様の配慮をしても良いように思う。観光立国を目指すらしいし。

訪日外国人動向2023 - 観光統計 - JTB総合研究所

クソ寒い

夏の東京がベストシーズンではないのと同様、冬のソウルも観光に最適とは言い難い寒さであった。仙台ぐらいの寒さを想像していったところ、この数日はマイナス13−14度を記録するとんでもない寒さだった(自分の経験上、マイナス10度を下回ると冷気がヒートテックや手袋を貫通する)。

日本車を全然見ない

それなりに多くの国を訪れている方だと思うが、日本車を目撃した数で行くと韓国ほど少ない国はなかったように思う。日本でベンツを見るぐらいの頻度でトヨタ・ホンダを稀に見ることがあるが他の日本車は無し。大半はHyundai、Kiaの2社で、少し驚いた(日本だって韓国車見ないといえばそれまでだが)。

2023年10月でいくと、Hyundaiが64,000台、Kiaが43,000台売ったところ、トヨタとホンダはそれぞれ700台と200台程度と、2桁も違っていた。

Korea - Flash report, Automotive sales volume, 2023 - MarkLines Automotive Industry Portal

2000年頃は10%弱のシェアがあったみたいだが、そもそも関税が重い中、日韓関係の悪化や韓国車のクオリティ改善が相まってシェアが落ちてきた模様。

Japanese Cars Losing South Korean Market - Businesskorea

サムスンの携帯をたくさん見る

Iphone以外の携帯をよく見るなと思い調べたところ、大半はサムスンである模様。足元70%弱。Kpop等エンタメだけでなく、自動車や家電、半導体や携帯の会社も韓国は強いと気付かされる。自動車は未だ日本車の方が強いと言えると思うけど、他の3つは韓国企業に大いに水を開けられたんだなと感じる。

Mobile Vendor Market Share Republic Of Korea | Statcounter Global Stats

Google Map使えない

正確には使えはするものの、国内系のKakao Map、Naver mapの方が精度が高くコメント等も多い模様。ホテルまでの行き先を検索しても、あるはずの地下鉄のルートや徒歩ルートがGoogle mapでは出てこなかった。ざっと調べたところ、Googleに対して韓国政府が地図情報を使わせない、等の記事が出てきた。

S. Korea to not allow Google to use maps unless sensitive areas blurred out | Yonhap News Agency

今ググったところ、Eコマースも国内系のシェアが高い模様。日本との差分がどのあたりにあったのか、興味がそそられる(が、すぐには結論でなさそうなので棚上げ)。

https://www.nowak-partner.com/upload/document/2023_np_e-commerce-market_korea.pdf

一人飯しづらい

日本だと吉野家やラーメン屋、大戸屋や王将等々、一人で食事することに抵抗が無い場所が無数にあるが、ソウルで一人飯の場所を見つけるのには苦労した。酒のんで複数で楽しむ場所、といったテイストの食事場所が多い。そもそもチェーン店自体が日本より少ない様な気がした(ハングル読めていないので、気づいていない可能性もあるけど)。韓国在住経験長い人の記事も見つけた。本件に限らず、日本に比べると韓国の方がグループを作る傾向があり、所謂「陽キャ」寄りのカルチャーだと思う。

韓国は「ひとり飯」ほぼタブー! おひとり様=みじめな人認定で苦労した実体験 - Yahoo! JAPAN

電車が便利

東京の電車は世界一と信じてやまなかったが、ソウルも大変便利であった。Redditを見ていると、東京以上にソウルの公共交通を評価する意見も幾つか目にする。村上ファンド村上世彰氏が阪急・阪神の統合を提案していた際、私鉄が複数乱立していることから乗り換えの手間等複雑化するとの指摘をしていたことが思い出された。ソウル地下鉄の運営形態は把握していないが、数字(1から6ぐらい?)が路線ごとに振り分けられ、駅内で乗り換えが完結するので、たしかに外国人にとって分かりやすいと感じた。あと、全部東京メトロ南北線みたいに飛び込み禁止のドアがついていた。

https://www.reddit.com/r/travel/comments/18ioq7z/travel_tips_no_one_asked_for_seoul_vs_tokyo/

阪急・阪神経営統合 - Wikipedia

山が近い

ソウル中心部からすぐ裏手には山が見えるのは東京には無い風景と感じた。ソウル最大のランドマーク、朝鮮王朝の王宮、景福宮の写真を撮ったが、すぐ裏には北岳が控えている。東京23区ぐらいのサイズの街の周囲が山に囲まれた盆地構造、そして中心を漢江が横切る、というのがソウルの地形。ソウルの地形については、以下記事が分かりやすかった。

【まちのすがた】地形もスケールもまちづくりもダイナミック!―ソウルの感覚をつかむ:第1回

街中に美女が多い

人様の容姿にあれこれ言うべきものではないが、目を引くような美女に珍しくない頻度で遭遇した。更に言うのが憚られるが、男性は日本と比較して(体格はやや良い気がするが)大きな差を感じなかったので、整形によるところが大きいと思われた。ざっと調べたところ、2020年時点で19−29歳の韓国女性は25%、30−39歳は31%が整形経験があるらしい。コロナ禍で整形が増えたと想像されること、また所得が高いソウルではより整形率が高いと思われることを踏まえると、ソウルの街中の若い女性のかなりの割合が整形経験済みと言って良さそう。

Why South Korea’s cosmetic surgery empire is both a source of pride and pain

本記事冒頭にリンクを貼った書籍内でも、韓国では男性は男性らしく、女性は女性らしくという社会のプレッシャーが強いとの旨指摘があったが、そういったことも背景にあるのかもしれない。東アジア人は得てして「正解」みたいなものを定義してそれに向けて過度に最適化する傾向があると思うが、韓国は一層日本よりその傾向が強いのかも。上の記事ではこのように書かれていた。

"Meanwhile, Korea’s plastic and cosmetic surgeons argue their profession helps to level the playing field in a society where education and the job market is already fiercely competitive and people are often judged on appearance.  "

国史に影を落とす日本

上記の韓国本とSeoul Museum of Historyを訪ねてみた感想として、自分が思っていた以上に韓国の歴史に日本という国は影を落としていたんだなと思った(率直に、自分はあまりに不勉強だったと思う)。1910年の韓国併合や太平洋戦争ぐらいは当然知識はあったが、豊臣秀吉による文禄の役慶長の役は日本史の片隅で知識として頭の片隅にあったぐらいで、韓国側の視点では歴史上の大事件、との位置づけがされたいた。朝鮮出兵を通じて多数の命が失われたことや、ソウル最大のランドマーク、日本で言う皇居みたいな位置づけといって過言ではない景福宮が焼失されたこと等、今回の旅行はきちんと学ぶ良い機会であった。韓国併合から独立まで、朝鮮半島が過酷な状況に置かれたことも言うまでもない。

SEOUL MUSEUM OF HISTORY

 

気づけばとんでも無い長さになっていた。。もうクリスマス当日になってますね。この辺で筆を置きます。韓国また行きたいな。