小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

なんで個人で奨学金をやるのか

このブログでも何度か触れてきたのですが、2023年から個人で出身県の高校生に奨学金を出すという活動をしています。9月に奨学生の最終発表が完了したということで、ぼちぼち来年に向けて動き出さないと、というところで、過去に書いた文章を読み返していたのですが、少し言語化がイマイチな様に思われました。なんでそもそも奨学金やるの?という根幹部分が揺らぐと今後継続するモチベーションが維持できない様にも思うので、改めて整理して、文章にしておきたいと思います。内省/自分語り系の記事ですが、読んでくださる奇特な方はお付き合いください。

Why個人で

なんで個人で奨学金をやるのか。改めて考えてみると、明確なトリガーとなるきっかけがあったというよりは、「奨学金をやってみたい」という土壌が自分の中で少しずつ育ち、経済的・時間的に余裕が少しできた去年のタイミングで噴出した、そんなイメージです。今年イエローストーン国立公園に行った時に、水が数十メートルの高さに吹き上がる間欠泉の原理を学びました。地中で温まった水分は通常温泉となるが、地上までのルートにつっかえる場所があるとそこにお湯が溜まり、つっかえが支えきれなくなったタイミングで噴出するらしいです。今般の奨学金企画のそんなイメージで、そもそも長年興味はあったところ、機を捉えて噴出した様な、そんな感じです。

個人で奨学金を出すという取り組み自体に関心を持ったのは、確か大学生の時にTwitterで回ってきた記事を見たのがきっかけです。新卒1年目?2年目ぐらいの若い女性が奨学金を立ち上げたのを見て、関心を惹かれました。彼女のスキームはとてもユニークで、支援金額は自分の収入と連動。自分の収入の1%を奨学金として学生に提供。毎年その比率を1%ずつ増やして行って、最終的には数十%を拠出する。拠出%が増えても自分が食べていけること、また拠出金額自体を増やすことが、収入を増やすモチベーションともなる、という格好です。奨学金といえば行政か大金持ちがやるものというイメージですが、一般の個人で出来る範囲でお金を出す、という着想はその記事から得ました(その記事を今探しても見つからないのが残念ですが)。

Why社会貢献

また、より広い意味で、社会の役に立つことをしたい、という漠然とした感覚はずっと持っていました。特別社会貢献に熱を上げるタイプでは決してないのですが、商社の新人としてしごかれて自己肯定感が失われていたある日、「社会貢献がしたい」という衝動に突如襲われたことがありました。そこですぐに参加できるボランティアを探し、会社の昼休みを使って東南アジアに送る古着を仕分ける、ということをしました。

あの衝動は何だったんだろうなあとその時は特に深く考えなかったのですが、後日Angela Duckworth女史(Gritで有名なペンシルベニア大学の心理学者)がPodcastで語っていたことを聞いて、膝を打ちました。彼女曰く、自己肯定感が失われてキャリアだとか人生だとかの不安で押しつぶされそうな時は、概して人間の注意は自分に向きすぎている。不安を一旦脇において、時分が出来る範囲で誰かの役に立つ中で自己肯定感は回復して、進むべき方向も掴めてくる、ということを話していました。商社で仕事をろくに回せずボコされていた新人の私は、誰かの役に立っているという感覚を外に求めていたのかもしれません。今回の奨学金企画も、USで初めての職場で四苦八苦する中で、利他的な行動を通して自尊心を回復する、みたいな面もある気がします。

Why留学支援

若い世代の海外での挑戦を支援したい、という動機の根本には、英語力と自身のキャリア形成への反省があります。大学卒業時点で英語ぐらい話せる様にはなりたいと考えて大学時からそれなりに英語学習に時間を割いて、今はアメリカ企業本社のビジネスサイドで仕事をするまでになりましたが、未だに英語が自分の能力の制約になっていると感じる場面もあります。

また、キャリアについてもMBAに来るまで深く考えることなく来ましたが、若い段階から自分のやりたいことに確信を持ち、一貫したキャリアを積んでいる人を羨ましく思うこともあります。…という病気を治す為の研究に一生を費やしたい、…の政策を変えたい、…という商品を作りたい等々、分野は問わず、自分の物差しで生きている人に強い憧れがあります。

即ち、自分自身の英語とSelf awarenessが人生に於ける痛恨、コンプレックスの一つな訳ですが、もう少し早い段階で海外に出ていれば、もう少し違ったんじゃないか、と思うところでもあります。この忸怩たる思いを自分と近い境遇の若い人たちに投影し、同じ轍を踏まないで欲しい、というのが留学奨学金をやりたいという動機になっています。

Why奨学金

グダグダ書きましたが、奨学金をやる動機の源泉について、上記は結構良い線行っている気がします。「崇高な取り組みですね」と言われたこともありますが、アイディアは二番煎じですし、社会貢献的な活動は自分の自尊心回復の為にやっている部分もありますし、自分の後悔と海外コンプに突き動かされている部分もあります。コンプへの向き合い方としては健全だとは思いますが。

ここ数年はアメリMBAに私費留学をして貧乏学生をやっていましたが、就職時に入ったボーナスで借金を完済、多少手元にお金が貯まる様になったことをきっかけに、動き始めてみた。すると、周りの人達が思った以上に助けてくれて、実現に至った。そんな感じです。Sam Altmanのこれですね。

How To Be Successful - Sam Altman

A big secret is that you can bend the world to your will a surprising percentage of the time—most people don’t even try, and just accept that things are the way that they are. 

相当長くなったので、この辺で筆を置きます。