小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

春学期の授業振り返り(前編)

昨日(6/5)で春学期のすべての授業が終了、幸いにも今学期は全科目期末テストが無い為、MBAの1年目の授業を終えてあとは成績発表を待つのみとなりました。このタイミングで秋・冬と続けている授業の振り返りの春学期分を書いていきたいと思います。

Analytical Consulting Lab

所謂Experiential Learningの科目で、講義は最初の授業のみ、後はクライアントから問題意識を聞いた上でデータを受け取り、分析・提案をするという授業です。経験として得られること、考えさせられることは多々あったのですが、率直に言って自分自身の最終的な貢献度が低く、自身のパフォーマンスにガッカリした科目でした。

思ったより分析的な要素は少ない

機械学習の実践機会を期待して履修した科目でしたが、簡単なVisualization+せいぜい回帰分析程度で分析は事足りたのは少し残念でした(ほかグループのプレゼンを見ていても同様だったので、自分のクライアントだけの話ではなさそうでした)。

同じデータセットから得られる示唆は知れている中、差別化になるのはクライアントとのコミュニケーションとパワポぐらいですが、前者はネイティブのメンバー、後者はコンサル出身のメンバーがリードした為、自分が貢献できる場面を探しているうちにプロジェクトが終わっていた、というのが感想です。

チームメンバーとのコミュニケーションに苦労

私の英語力の問題もありますが、プロジェクトの進め方や授業へのコミットの強さの違いから、効果的にチームで動けない場面が多々ありました。分担したつもりがメンバーがやっていない、かと思えば思ってもいない論点を見つけてきてプレゼン直前に話し出す等、戸惑う場面が幾つかありました。最終プレゼンの直前で他メンバーに分担していたところがクライアントが最も重視している論点と分かり、彼らが最後の仕上げで帳尻を合わせている中、自分は議論に入れなかった、という形でプロジェクトが終わりました。

今後、海外でクライアントワークをする上での示唆

コンサル的な仕事をする場合、秀でた一芸で貢献できる場合を除き、コミュニケーションの重要度が極めて高いため、日本以外でやる場合はかなりハードルが上がるな、ということを実感した経験でした。

一方、自分の経験値やスキルセットが足りなかったのは事実で、次回Experiential Learningに入るときは、以下を意識していきたいと思いました。

・チーム内での分担に縛られず、担当外の分析、調査にも手を広げる

・計画的にスケジューリング出来る人は意外と少なく、全体のスケジュールから逆算してクライアントやチーム内でのスケジュールを決めていくだけでもValueがある

・分析を行う場合は、自分でデータセットを見つけてくる(TwitterやWeb Scraping)、又は自分でデータを作る(アンケート等)が出来るとかなり幅が広がる

3つ目のポイントはMarketing ResearchやCustomer Analytics、Digital Marketing等、関連授業を履修してスキルをつけておきたいと思います。

Retail Analytics and Pricing

スーパーや家電量販店等、小売業界でのデータ活用について、Pricing中心に学んでいくという授業。教授の工夫や熱意が随所に感じられる、素晴らしい授業でした。Rの基本的な使い方(Plot作成や集計、Regressionの方法)も学べますが、主眼は分析の設計やデータの解釈に置かれており、「MBAのAnalyticsの授業」色彩が強かった印象です(すなわち、Codeを書いて分析する人視点ではなく、誰かに指示して出来上がった分析を使う人の視点)。分析を設計・解釈する上でのお作法・心構えが学べたのは有益だったと思います。

ビジネスでデータ分析を使う上での心構え

・データの質に敏感になる

Good data wins everythingが教授の口癖で、素晴らしいデータを使った簡単な分析は、微妙なデータで精緻なモデルを組むよりも余程意味がある分析になると繰り返し仰っていました。主な学びは以下。

会社が元々持っているデータ(Opportunistic Data)か分析用に作ったデータ(Designed Data)か、それぞれどのような仮定が置かれているかを分析前に必ず精査する。例:複数のマクドナルドに新しい看板を設置したことの売上改善効果を分析する場合、複数店舗で看板以外の影響(競争環境等)は一定と仮定される

また、データはどの程度散らばりがあるか(Variability)が存在するかも重要。例えば、価格変化の売上への影響をみたいのに、データセット内で異なる価格のデータがあまり存在しない場合、精度の高い分析はできない。

回帰分析等を実施する前に、データの定義の確認、Plotや集計テーブルをまず作成してデータの傾向を掴む。

・Business Intuitionを大事にする

データ分析から、直感に反する全く新しい発見が出てくることは稀。感覚的におかしい結果が出た場合は、まず分析自体を疑う。

 

トピックとしては、主に以下について学びました。

・コンジョイント分析で顧客のWillingness to payを定量

・回帰分析から価格弾力性を計算し、利益を最大化する価格を特定

・因果関係の確立(大量のRandomized dataを使う手法、少量のデータをMatchingして条件を揃えた上で分析する手法等)

 

2授業だけで結構長くなったので、後編は別記事で書きたいと思います。