久々書評です。「出世する方法」という和書だったら絶対手に取らない恥ずかしい本なんですが、旅行中時間があるなと思い購入したこちらの本。
最近、Twitterでどなたかが、「クビにならない様に努力している奴こそが最初にクビになる」という趣旨のことを呟いており、これは確かにそうだろうな、と思いました。低過ぎるハードルが越えられずに表舞台から去ることになるのは世の常。実際にPromotion出来るかはともかくとして、Promotionする気概で仕事していれば、クビにはならないだろう、という気もします。
読んでみたところ、今の会社で同僚が話していたり、全社員に強制するために制度化されていることが言語化されており、アメリカ企業社会での暗黙の作法を理解する上ではとても有益でした。日本だとこれは受けいられないだろうな、というポイントもあり、日米の違いを俯瞰する上でも役に立つ本でした。
内容+感想
そもそもなんで出世すべき?
同じ職位で2年以上留まっている人間は、リクルーターからすると低パフォーマーの疑いがかかり、要注意となります。職位が変わらずに責任範囲が拡大している場合、その旨をきちんとResumeに記載し、なるべく職位を上げてもらうように交渉するのがベストプラクティスなようです。
これは日本だと、(社内の他の社員との相対感でのプレッシャーはあれど)あんまり無さそう。アメリカ企業のほうが職位のインフレ(VPとかDirectorとか)や細分化(EVP/MVP/SVP、だれが一番偉いの?みたいな)が進んでいる気がしますが、労働市場からのプレッシャーも背景にあるのかもしれません。
給料の上昇は要因をはっきりさせろ
①インフレに伴うベース級の上昇か、②他の同じ職位の社員と合わせるためのCatchupか、③パフォーマンスに基づく昇給か、明らかにする必要がある。①は言うまでも無しですが、需要上昇に伴い急速に給与が上がっている職種(エンジニアとか)は、近年入社した社員に高い給与がオファー、古株社員が相対的にUnderpaid、ということが発生し得ます。それはパフォーマンス云々ではなく、証拠を集めた上で不平等なら上司に伝えるべき、となります。
これも日本だとそんなに無さそうですね。NY等で給与のレンジを公開する動きが広がってますが、人材の流動性が高いが故に発生しやすい話と思われます。
出世したいなら、その意志を上司に日頃から伝えろ
半期や年に一回の人事考課のタイミングで出世したい、と伝えても遅すぎるケースがあり、既に予算固まっちゃってるよ、ということが往々にして発生する様です。責任の増加やライフスタイルの変化を好まず同じ職位に留まることを望む社員も沢山いるので、出世したいならそうと伝えておかないと、「そうとは知らなかった」と上司から言われる可能性があります。
出世する為のパフォーマンス上のTipsは、古今東西変わらない
本の中で色々紹介されてましたが、出世するためのHow toという本書の肝部分は、正直日本と変わりはありません。業界や職位問わず一般的に言えることなんて、まあそんなもんでしょう。
- 人よりハードワークしろ
- 率先して動け
- 期待以上の働きをしろ
- 良いメンターを見つけろ
- チーム外と働く機会は大事にしろ
- ネットワーキングをして自分の顔を沢山の人に売っておけ
- 定量化出来る実績を作れ
- チームプレーヤーたれ
- 上司とは定期的に仕事ぶりについて1 on 1をしろ
- 出世した先の職位でも仕事が出来ることを示す実績を上げろ
今の自分の職場で思い当たるところとして、定量化については意識しようと思っています。偉い人が出席する幾つかの会議で何度自分がプレゼンする場面があったか、そしてその内どれだけが実行されてPLを稼ぐことに繋がったか、というのは大体定量化出来るので、意識しようと思います。自分の場合の出世はプレーヤー→管理職の転換がある為、自分より下の職位の人への指導やサポート、インターンの指導係等の機会をとってアピールする必要があると考えています。
日本と少し違うな、という部分はメンターと上司との定期的な1 on 1でしょうか。チーム内外でメンターを見つけてフィードバックを受けたり、上司と定期で1 on 1して自分の仕事で足りていない点・改善案を考えるというのは、アメリカ企業の良き文化だと思います。
自分の出世を裏付けるデータを作れ
過去一緒に仕事した人に自分の出世をサポートするコメントを出してもらい、上司が自分をプッシュする際の材料とすべきです。これも日本ではあまりない文化ですね。今の会社では、360度評価が実際的にこの役割を果たしており、基本的に相手をべた褒めするコメントを皆で書きあっています。かつて360度評価でネガティブなことを書かれたことがあると騒いでいた人を目撃したことがあるので、空気を読んで、出世判断に使われる原材料の一つに過ぎないとしてとりあえず私も良いことしか書いてません。
書き出してみると当然のことも多いですが、知らずにフワフワ仕事をしていると損をした、と感じる事態にもなりそうです。