小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

アメリカMBA就活マニュアル(実際問題どれぐらい難しいのか)

アメリMBA就活マニュアル」と題して書くのはこれで最後にするつもりですが、最後は精神論チックに、日本人でもMBA経由でアメリカ就職するのは出来る、とエールを送って終わりにしようと思います。私自身、つい最近まで自分がアメリカで就職するイメージは持てていませんでしたし、MBA受験生・在校生にも自分と同じ様な人は多い気がします。そもそもアメリカに残る日本人のN数が少ない上に、稀に見つけた場合でも帰国子女 and/or キャリアが強い(外コン・外銀等)場合が多く、自分がアメリカ就活をやるイメージを持つことが出来ませんでした。

が、実際に終えてみて、US MBAまで辿り着くことが出来た日本人であれば、アメリカでも就職できる、と声を大にして言いたいです。私自身は以下ブログを書いている石田さんにアメリカ就活の背中を押してもらいましたが、石田さんも私も、アメリカ人からしたら日本の無名企業に過ぎない総合商社出身で、財務/営業といった普通のRole、入学時の英語は同級生との会話もままならないところからスタートしています。

Kelloggの外国人留学生の就活含むサポートを2008年からしている女性と会話した時にも、金融危機含め過去15年弱留学生を見てきて、アメリカ就活に本腰を入れて挑戦した留学生で、オファーが一つも取れなかったのは1人しか見たことない、とのことでした。最後まで粘っていれば、圧倒的大多数がオファーを取れることの証左だと思います。

とはいえ、日本よりストレスフルなプロセスになるのは事実ですし、この記事では、アメリカ就活を難しくしているのは何か、それぞれどんな処方箋があるのか、という点について、自分の考えをまとめていきます。アメリカ就活に適度な期待値を持って頂き、日本からUSのMBAに受かるだけのバイタリティ、英語力がある人ならチャレンジできる、と思ってもらえれば嬉しいです。

アメリカ就活のハードルは何か

私が思うアメリカ就活の難所は、① 1社あたりの通過率が低い、② 必要タスクが多い ③ 英語の3点です。そして、①、②は日本とアメリカでの、MBA就活市場のサイズが違うことに起因すると思っています。

こちらの記事(Poets&Quants - The Alarming Decline Of The MBA’s ‘Value Added Ratio’)によると、アメリカでは毎年大体20万人のMBA卒業生が誕生しているそうです。MBAを出て日本で就活するのはせいぜい100-200人と考えると、就活市場は1,000-2,000倍のサイズ差が存在します。

これにより、アメリカではマッチングが極めて複雑化します。日本では人気の雇用主でもApplicationが100を超えることは無いと思いますが、アメリカの人気企業は数千、数万といった規模のApplicationが来ていることが想像されます。この市場規模の圧倒的な差が、通過率、必要タスクの差に繋がっていると思われます。

1社あたりの通過率が低い

人気企業は数千・数万のApplicationを受け取っていると思われますが、当然雇うのはその中の一部になるので、通過率は小さくなります。更に、1社あたりの通過率が低いことを受けて各人が100社以上応募したりするので、それにより通過率が益々小さくなる、という構造が存在します。Off campusで就活する場合、100社出して面接は10社あれば良い方、最終まで進めるのが3-5社、オファーが1-2社ぐらいのイメージ感です(On-campusだと面接に呼ばれる確率が上がったり、また求職者のBackgroundとポジションのマッチ具合等にも依存しますが)。

上の様な話は就活する前にも耳にはしますが、実際に志望企業から全然面接に呼ばれない、たまに呼ばれた企業にあっさり落とされるといったことが続くと、精神的に参ってきます。そもそも英語や職歴に不安がある中、目の前に不合格の山を突きつけられると、自信がどんどん失われていきます。

そんな訳で、以下の記事にも書いた通り、メンタルヘルスを保ち、難しい局面でも面接のパフォーマンスを落とさず、出来ることを続けていくことが極めて重要になります。

必要タスクが多い

また、多数のApplicationからInterviewに呼ぶ人間を絞って省力化する必要があることから、Interviewの手前で日本就活では必要ないタスクが発生することが多いです。パターンは幾つかありますが、単純に社員と沢山会うことを通じて志望度を示す、社員からReferralを獲得する、Cover letter/Resumeで志望度を伝える、等々です。

応募数が膨らみやすいことは上で書いた通りですが、1社あたりにも一定の投下時間が必要となるので、就活生には負担となります。ただ、企業に応じた「必要タスク」が何であるかを同級生やアラムナイからしっかり情報収集して、それを淡々とこなすのみで、何か特別なスキルが必要な訳では無いです。

英語

最後に、当然全プロセスを英語でやることになる点ももちろんハードルになります。が、Interviewで聞かれる内容の大半は予測できる+何度も似たようなInterviewを繰り返すことになるので、MBA受験でもInterviewを経験したMBA生なら、慣れと対策でなんとか出来ると思います。私は以下スケジュールで対策していました(T = Interview当日)。

T-2 Script作成、軽く読んでおく

T-1 Script暗記(録音して歩きながら覚える or Zoomの前で一人でMockして覚える)

T  Interview1時間前から、Zoomの前で最後の練習

まとめ

まとめると、米就活にまつわるハードルとその対策は以下になります。

  • 通過率が低い→沢山Application出す。一喜一憂せずにメンタルヘルスを維持する習慣をつける。就活仲間を作る
  • タスクが多い→事前に調べて淡々とこなす
  • 英語→Scriptを作って覚える

見てわかる通り、何も特別なことはありません。英語が出来ればもちろん有利ですし、前職が強ければ面接に呼ばれやすいかも知れませんが、殆どのキャリアチェンジを志す人は同様に苦労するのがアメリカ就活です。自分で限界は決めず、根気よく続ければオファーが取れる可能性は非常に高いと思いますので、Backgroundに関わらず、アメリカ就活に挑戦する人が増えたら嬉しく思います。

晴天のEvanstonからアメリカ就活をする人が増えることを祈りつつ、一旦筆を置くことにします。