小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

アメリカMBA就活マニュアル(ターゲット企業について②:Job Description)

「Location・Function・Industryを変えるのは難しい」って話はあまりに雑

本題に入る前に、MBA就活の文脈でよく耳にする「トリプルチェンジ(Location/Function/Industryを全部就活で変えること)」みたいな概念、一般論として正しい一方で、あまりに粒度が粗い気がします。こういった言葉が独り歩きして、日本人MBA生のアメリカ就活の自信を失わせている面もあるんじゃないかなって思います。色々問題はありますが、自分が思う大きな違和感は以下2点です。

  1. Locationを変える苦労と、日米の就活市場の需給の違いによる苦労が混同されがち
    想像に難くないことですが、日本とアメリカでMBA就活市場の需給環境は全く異なります。いわゆるトップスクール(定義は読者の皆様にお任せしますが)を卒業して日本で就活する人は、社費や海外就活勢を除いたりすると100人やそこらですが、アメリカはその数十倍・数百倍の就活生が、各々数十社応募していきます。この違いにより、日本でInterviewに呼ばれないことは稀ですが、アメリカでは呼ばれないのがデフォルトになります。が、これはアメリカで就活するアメリカ人とて同じ状況で、彼らは国を変えずともこの環境で就活する訳なので、「Locationを変えると就活が難しい」と表現するのは違和感があります。
  2. Function、Industryを変える難易度は、Consulting、IBD等とその他で分けて考える必要がある
    MBAを伝統的に積極採用しているConsulting、IBD投資銀行)と、その他では業界を変更する難易度がかなり異なる印象です。この点、本筋に関わりますので、もうちょっと細かく説明します。
業界によるキャリアチェンジのハードルの違い

上に書いた通り、a) 伝統的にMBAに採用ターゲットを絞り、積極採用する業界(Consulting、IBD)と、b) その他の業界 で、キャリアチェンジのハードルを分けて考える必要があります。

a)については、会社ごとに必要なネットワーキングをこなし、Technicalな面接を突破する苦労はありますが、学校名以外のバックグラウンドは比較的寛容な印象です。軍人や医者といったNon-traditional backgroundの方でも、面接でのパフォーマンス次第で採用されているケースを目撃します。

一方、b)については、Job descriptionと過去の経歴の一致度が厳しく精査され、Job descriptionから外れた人間と思われるとそもそも面接に呼ばれません。「MBAが合ってもFunction/Industryを変えるのは困難」といった言説は、こちらのケースに主に当てはまる話だと思います。

例えば、以下はLinkedInで見つけた、AmazonMBAをStrongly preferredとしている求人ですが、Basic qualificationに記載のある、5年以上の関連職務経験や、M&A経験等無しに面接に呼ばれる可能性はかなり小さいと考えるべきです。

Product ManagerやFP&AといったRoleでもこの手のMinimum RequirementはJob descriptionに細かく定義されており、就活生はそれに近い経験をResumeに列挙して対抗していく訳ですが、0を1にすることは出来ないので、経験がない場合はかなり厳しい戦いとなります。

就活の進め方についての示唆
  • a)のConsulting/IBDといった業界については、各社必要なNetworking Processが存在するので、アラムナイ/同級生から抜かり無く情報収集をして然るべきプロセスをこなし、あとはInterviewに呼ばれるのを願うのみ、となります
  • b)の他の業界は過去に関連経験が少ない場合は厳しい戦いとなりますが、本当にキャリアチェンジしたいのであれば諦めないで頑張るべきだと思います。まずは最低限、数を打ちましょう。その上で、Referralをとる、友人/アラムナイに会社の偉い人やHiring Managerを紹介してもらう、業界に関連する授業やインターンをする等、可能性を高める方法は存在します。
    また、何かを妥協するというのも手だと思います。例えば、どうしてもCorporate StrategyのRoleが欲しいという時に、Google・高給・西海岸みたいなポジションは当然アメリカ人含め競争が熾烈になります。Role以外のポイント、Location(中西部にするとか)、Industry(Techより不人気の製造業にするとか)について妥協すれば、ピカピカの人気企業と比べてRequirementが緩い求人が見つかったりもします。一度就職して経験値を溜め、ビザも取れれば求職者としての魅力は高まりますので、そういった戦略もありだと思います。
  • On-campusでのRecruitingや学校のJob board経由で応募するのも大事です。わざわざ企業がこの学校から欲しい、ということで求人を出してきているので、全米が競争相手となるLinkedInやIndeedの求人より遥かにInterviewに呼ばれる可能性が高いです。私自身も、Job board経由で出した、何の職務経験の無いPMM roleの面接の案内が来たこともありました。

以上がJob description関連で私が感じた点となります。PMやIBD、Consulting等は自分自身がアメリカでの就活を経験せずに周囲を見聞きする中での理解となりますので、何か気づいた点あればコメント頂ければ幸いです。「IBD/Consulting以外」って括りもザックリし過ぎていて、各々濃淡はあると思うので、その辺ももっと検証する余地はあると思います。