小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

相手は決まっていないけど、1年後には結婚する同級生の話

先日、インドのAmazonで購入したベジタリアン仕様のボンカレーを同級生の部屋で食べている時、家主のプリヤンカ(仮名)が「I will marry in the next December」と話し始めた。インド就活の佳境は12−1月、他の学生の多くが3科目だけの履修に留める中、5科目を履修してDean's list入りを狙う勉強熱心なインド人女子で、彼氏がいるとも聞いていなかったので、正直意外だった。「Congrats! 相手はどんな人?」と返すと、結婚することだけが決まっており、相手にはまだ会ってもいないし何も決めていない、と返ってきた。そこで漸く、彼女がArranged Marriage(お見合い結婚)を予定していることが分かった。

「もう良い歳だから、両親が縁談を進めることを決めたの」と話す彼女は26歳。日本であれば結婚をことさらに急ぐ年齢でもないが、インド女性の平均結婚年齢は22歳。高学歴、キャリア志向の女性は平均より結婚は遅いが、26歳はインドでは「良い歳」である様だった。来年3月に交換留学先の韓国からインドに戻ると、両親による婿候補紹介に始まり、結婚に向けて怒涛のスケジュールが組まれていくとのことで、なんとなくベルトコンベアを進む工場の様な、工業的なプロセスを想起した。

「でも、良い面もあると思ってるの」

MBAに通うぐらいの年齢の人でも、日本人で、お見合い結婚を身近に感じている人はあんまりいない。厚労省のデータでも、1960年代には恋愛結婚がお見合い結婚を上回っていた様なので、祖父母の世代でいるかも、というレベルだろう。

平成27年版厚生労働白書 - 人口減少社会を考える - |厚生労働省

一方インドでは未だに結婚の8割はお見合いで、大恋愛の末に結婚するインド映画と現実は乖離している。「なんで?」というこちらの疑問を察したのか、プリヤンカが話し続ける。

「私の家は、保守的な家庭なの。結婚相手は男なら誰でもいいなんてことはなくて、同じ宗教(ヒンドゥー教)は当然として、同じ第一言語テルグ語)、同じ地域の出身(Hyderabad近辺)、同じレベルの教育(Master以上)、そして何より同じカーストである必要があるの」

正確な数値は分からないが、こうした要素の掛け算をクリアできるのは、インド人男性の0.1%もいないだろう。自由恋愛で出会った人をチェックリストで判定していくのは非現実的で、最初から条件に合致する人を紹介してくるようお見合い業者に頼むほうが、遥かに効率的、という判断でお見合いが選ばれたのだと思われる。

「でも、良い面もあると思ってるの。男の子と付き合っている友達の話を聞いていて、彼氏と喧嘩した、仲直りした、付き合った記念日を一緒に祝ったなんて、楽しいかもしれないけど、私にはそんな時間はないと思う。ISBの前は仕事で忙しかったし、今は勉強に集中したい。お見合いが一番省エネで結婚できるから、私はそれで良いかなって」

比較的恋愛結婚が多いと言われる都市部でも未だに7割以上がArranged Marriageなのは、伝統を引き継ぎたい親世代の意向と、急発展する経済にあって良いキャリアを築きたいという子世代の意向が合致しているからなのかもしれない。

豪華絢爛な結婚式の裏側には、色んな思惑があるんですね。

(こちらは先日出席した、友人の友人(=即ち他人)の結婚式の画像)

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