小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

NYの移民街を訪問した(ジャクソンハイツ、フラッシング、ブライトンビーチ)

7/4の独立記念日の連休で、NYのクイーンズ、ブルックリンにある移民が多い地域を訪問してきたので、感想を残しておきます。NYといえばタイムズスクエア自由の女神が有名ですが、世界各国からの移民の文化とファイティングスピリットに触れるのも凄く良い過ごし方だと思います。今回訪問したのはジャクソンハイツ、フラッシング、ブライトンビーチの3箇所です。

ジャクソンハイツ(Jackson Heights)/Queens

駅を降りてすぐに気づくのが、この街の騒々しさ。人が溢れて細い路地の信号を守らない人が多く、自動車のクラクションが鳴り響く。視覚的にも、密集している、という感じがある。高架下で空が遮られて閉塞感があることに加えて、就労許可を持たないであろう移民達が路上でタコスやスナック、コピーブランド品等、様々なものを売っている。アジア系とラテン系とおぼしき、胸元の開けた服を着た街娼も立っている。アメリカにいながらも、インドの大都市での風景を想起させる街並みだった。ただし、コロンビア料理店の隣がネパール料理屋、その近くにはインドのパンジャーブ地方の料理と、店の種類の多様性は他国に無い風景。店の隙間を縫うように立地している、移民弁護士の事務所も目についた。調べたところ、このエリアだけで167言語が話されるらしい。

バングラデシュの人をターゲットにした?旅行店とパンジャーブの散髪屋
Liberty Travelsという名前が印象に残る看板と、何でも売っている露店

この街を題材とした映画のTrailer冒頭、自治会長風のおじさんが、Jackson Heightsは世界で最もDiversityが高い街だ、と発言して拍手喝采を浴びていた。

BBCの記事の書き出しが良かった。実際に訪問してみて、まさに書いてある通りだと思った。

Travellers may go to Central Park or Times Square to see New York City, but there's no better place to feel the city's DNA and understand how it started than here.

フラッシング(Flusing)/Queens

マンハッタンのChinatownに美味いものなんてある訳無いだろ、と中国人の同僚に言われて、ではどこに行けばよいのか?と聞いて返って来た答えがFlushingだった。実際に来てみて、路上でおっさんが中国語で演歌?を熱唱している。8ドルで髪を切るという看板が出ている。スーパーに入ると、日本のワックス、デューサーの蓋が勝手に開けられた痕跡がある。なるほど、これは確かに自分が知っている中国本土の都市、そのものだと思った。

8ドルの散髪屋 / 蓋が勝手に開けられたヘアワックス

 

Injured?の看板 / 完全に中国化したデパート

 

前述の同僚に薦められた四川料理の店で食事をしていると、本人とバッタリ会うというミラクルが起こり、彼と街を散策することに。彼曰く、Flushingで働いている中国人たちの多くは、メキシコ国境、Southern Borderを不法に渡ってきたUndocumented Immigrantなのだと言う。中華移民のパワーを感じる場所であった。

ブライトンビーチ(Brighton Beach)/Brooklyn

サウナが趣味の為、アメリカ国内を旅行する時は必ず「Russian Sauna」で検索してバーニャの立地を確認するのだが、NYCで検索すると、ブルックリン南部に複数店舗バーニャがあることが分かる。

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調べたところ、Brooklyn南部のブライトンビーチは、アメリカ最大の旧ソ連系のコミュニティらしい。第二次世界大戦後にホロコーストを逃れてきた人々、1970年代に旧ソ連の抑圧から逃れてきたユダヤ系の人々、ソ連崩壊後に旧ソ連諸国から来た人々等がいる模様。

実際に訪問してみると、少し影のある、寂寥感のようなものを感じる街だった。行ったことはないけど、旧ソ連諸国には全体的にそんな印象がある。錆びついたロシア語の看板、3ドルや5ドルで水着や服を売る店。昼間から酒を飲んでビーチを眺めているご老人達。一番エネルギー量が高かったのは、Tashkent Supermarketなる現地スーパーだった。来訪者の数に店のキャパが全く追いついておらず、ピロシキやペルメニ、ケバブといった惣菜を求める人で溢れかえっていた。

Tashkent Supermarketの様子

Brighton Beachの駅から数駅北に戻り、Bathclub NYという店を訪問した。妻が水着を忘れてどうしたものかと困っていると、店員のお姉さんがあれこれ世話を焼いてくれて、店にある貸出用の水着を使ってもいいし、近所の激安雑貨店で1ドルの水着を買ってもいいし、Marshallできちんとした水着を買っても良いと、松竹梅の選択肢を提示してくれた(結局妻は水着を店で借りた)。店内は自分達以外は全員ローカルのロシア系と思しき人で、全員英語以外の言語を話していた。サウナだけ使って帰るのではなく、酒を飲んで飯を食べ、サッカーのヨーロッパ選手権を観てサウナに入り、というループを無限に繰り返し、半日施設内で過ごしているようだった。なんか既視感があるなと思ったら、スーパー銭湯で甲子園を観る日本のおじさんと似ていることに気づいた。Introvertだけど要件をきちんと捌いてくれる感じや、Bathhouseでリラックスする文化等、ロシア系の人々と日本人の嗜好は実は近いのではないか、と思う。