小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

書評:Difficult conversations

さて、久々の書評です。2023年のテーマとしてインプットを増やそうと心がけていることもあって最近毎日早めに出社して1−1.5時間ぐらい読書することにしているのですが、2ヶ月程度続けた結果習慣として定着してきた感があります。一方で、日本時代は日本語のビジネス書を半ば娯楽感覚、食事しながらとか暇な移動中とかに読んでいましたが、洋書できちんとした内容だと読むのにエネルギーがより必要な為、「読書時間」を設けないと読む気になれず、インプットが増えないことが小さな悩みでした。今週から意識的に、食事中や隙間時間にも英語のビジネス書を読むことにしており、習慣化出来ることを期待しています。一冊読むと語彙も増えますし、話す英語の表現の幅も広がる感があり、手応えを感じているところです。

さて、前置きが長くなりましたが本日はDifficult Conversationsという本。仕事でミスった時の上司との会話や配偶者との口喧嘩といった、難しい会話にどう立ち向かうか、がテーマの本です。ちなみに、邦訳も出ているみたいでした。こうした方が売れるんでしょうが、「ハーバードネゴシエーション・プロジェクト」みたいなクソダサいタイトルで売り出すのはなんとかならないものでしょうか。

内容

こちらの本が良かったのは、「相手がこう言ってきたらこう返せ」みたいなフレーズ集ではなく、建設的な会話にするためのフレームワークが幾つか紹介されている点です。幾つか、心に残ったメッセージを箇条書きにします。

  • 自分が正しくて相手が間違っているという前提から会話に臨むのは間違い。相手側にしか見えていない情報が必ず存在している。「自分の話がMake senseだから自分は正しい」と思いがちだが、実は相手の話も筋が通っている、という「両方正しい」みたいなことは多い。相手がバカとか、相手が自己中心的みたいな結論を導いた上で、自分の正しさを相手に説くみたいなスタイルでは上手くいかない。
  • 「何が発生したか」という現状認識の会話で、自分だけのストーリーで話を構築できると考えてはいけない。聞きに徹して、相手側の事情を把握した上で、「どうすればよかったのか」を一緒に考えるのがベスト。この段階で口論してしまうと、相手が持つ情報が見えず、また相手がこちらに協力的でなくなってしまう。
  • 相手の情報と組み合わせて、その結果に至った「Contribution」を整理していく。「部下がバカでやる気が無いからこの仕事をミスった」だけで終わらせず、「仕事を振る時にあまりに時間が無い振る舞いだったことで部下が意図を十分に確認できなかった」「普段とは違うイレギュラーな処理が存在した」等、情報を整理する。
  • どの様な感情になったかを無視せず、きちんと伝える。
  • 事象を整理したら、自分のアイデンティティの認識への影響を整理。0か1かで捉えず、「子供に関する悪口を言われたらつい感情的になってしまうけど、普段は理性的」みたいな、グラデーションで捉える
感想

どこまで現実生活に役立てられるか、正直自信がない一冊です。相手とヒリヒリする様な会話としているとして、「一緒にContributionを考えていこう」というステージに持ち込むにはかなりテクが必要そうです。英語だとテクニックと自信不足、日本語だと「そんなこと敢えて話したくない」と、何かトラブルがあっても衝突を回避する人が多い気がします。

まあただ、「相手側にしか見えていない情報があるので、相手がバカだとか自己中心的だとかすぐ断じては駄目」という精神態度は気をつけたいと思いました。つい最近も上司についてグチグチ言っていたら、同僚に、「上司は上司で、コロコロ変わるManagementからのコメントを受けてプロジェクトをハンドルしてるんだよ(そしてそのManagementも…)」と嗜められたところでした。