小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

コロナ禍の最中、米MBAに進学すべきか?

改めて言うまでもないことですが、昨年末に発生した新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。MBA生にとってもコロナウイルスは極めて重要な問題で、TOEFL/IELTSに始まる辛く大変なMBA受験を数年がかりでやっと突破したと思ったら、授業のオンライン化?インターンシップの中止?そもそもビザが止まっていて渡航できない?等心穏やかではないニュースの連続で、合格者同士で会うと話題の90%ぐらいがコロナ関連になります。

私費合格者の悩みは一層深く、多くの場合は既に100万円単位の私財を投じ、これから2,000万円以上の授業料・生活費を払う訳ですが、オンライン授業とキャリアチャンスがその対価として見合ったものであるか、改めて考えなおす必要に迫られています。

まだまだ不確実性が残る中ですが、足許の現状理解と、MBA進学についての自分の考えを整理しておこうと思います。尚、各国状況が異なると思いますので本記事で触れるのは飽くまで米MBAに留め、また受験生では無く合格者が直面している状況にフォーカスして書いていきます(即ち、GMATの受験可否や各スクールのadmission上のrequirement変更についてはこちらでは触れません)。

学校側の対応

まず、4月に話題になったのがこちらの記事。Harvard Business Schoolが合格者に対し、1年又は2年の入学延期を希望することを認めるというものです(但し、希望を出しても入学延期が確約されるわけではない)。

世界のビジネススクールのリーダーであるHBSが、international生のみならず全合格者に対して入学延期の希望の意思表示を認めるということで、他のビジネススクールへの波及についての推測も含め、MBA界隈ではかなり話題になりました。但し、希望を認めるかについての最終的な判断は学校側が握っており、実際問題どの程度延期が認められるかは未知数です。

他のビジネススクールも対応を打ち出していますが、全員に希望を聴取すると収拾がつかなくなるリスクと背中合わせの中、入学延期の論点はinternational生のみに絞っている学校がほとんどという印象です(HBSについては受験者数が多く合格した場合の歩留まりも良い為、他のスクールに比べ質・量ともに厚みのあるwaitlistが存在することが上記対応の前提になっているようにも思います)。一例として、Whartonはinternational生でビザが取得できない場合のみ入学延期を認めるとの記載がwebsiteにありました。逆に言うとビザが取れるのであれば入学が前提と読める為、(そもそもそんなことが出来るのかは置いておいて)今年入学のMBA生が全員結託してビザが取れなかったことにしない限りは、今年入学が必要となる模様です。その他、Chicago Boothの合格者の方と会話したところでは、学期が始まるのが他行より比較的遅いこともあり、未だ通常通り対面で授業をするとしかアナウンスが無いとのことでした。

この様に見ていくと学校によって対応はかなりまちまちですが、基本的には入学延期は認めたくない、但しビザの問題がある場合は考慮する、というのが共通するメッセージの様に思います。

Kelloggの対応はどうなるのか?

私が入学予定のKelloggについては、WhartonとBoothの中間地点にいる様な印象です。international生に対し入学延期はコミットできないものの、個別の事情を勘案して検討するとのコメントは出しており、ビザの問題があることを伝えれば入学延期のオプションが得られる可能性はあると思われます。授業については学校に来れる場合は対面、仮に現地に行けない場合はオンラインでの受講を認めるとしていますが、9/21の授業開始までにアメリカに来れない場合は、winter quarter(1月頭始まり)から対面の授業に参加する形になるとのことです。この学期途中でオンライン⇒対面への切り替えが出来ないうポイントはfederal visa guidelineに従った結果とのことで、quarter制を導入しているKelloggは他のスクールよりダメージが軽減されているものと理解しています(Kelloggでは6 quarterの内の1つがオンラインとなるが、他の学校は4 semesterの内1つがオンラインとなる)。

fall quarterについてはビザの取得状況に応じ対面/オンライン授業に分岐してしまうのですが、足許、米国大使館は世界的にビザ発給を停止している為、今後の展開が読み切れない状況です。

コロナ禍により懸念される影響

 合格者同士の会話やMBA関連の記事を見ていて、以下の影響が懸念されている様です。感覚として、日本人合格者は社費が多いこともあり、就職活動への影響以上に学びの質を懸念点として挙げている方が多い印象です。

  1. オンライン化による学習の質の低下
  2. インターン含め企業が採用に消極的になり、就職活動に悪影響が出る
  3. クラブやイベントが中止となり、ネットワーキングの機会が失われる
  4. Class sizeの縮小や学生の質の低下

上に挙げた懸念事項に対する自分の考えについては、以下項で自分の意思決定の理由を説明する中で触れていきたいと思います。

なぜ、それでもMBAに進学するのか?

 コロナの状況は刻々と変化し、日々学校側から新たな発表が出る中、自分も不安で堪らない時期もありましたが、基本に立ち返ってそもそも何でMBAに行きたいのか?そしてその理由にコロナ禍はどの様に影響するのか?と考え直し、今現在は進学しようと思っています。

  1. 勉強
    MBAではFinanceとData Analyticsに重点を置きながら、幅広い分野を勉強していきたいと思っていますが、それはZoom越しでも十分学習可能だと思っています。Zoom授業について複数の在校生にヒアリングしましたが概ね「意外と悪くない」といった回答で、少なくとも極端に学習が妨げられているとの声は聞こえてきていないです。私自身Zoom等のツールを活用しながら仕事を進めていますが、対面に比べて極端に学習効率が落ちる様なイメージは無いです。唯一懸念されるのが授業に向けたグループでの準備ですが、それとて言語が英語にはなりますが、オンラインでも大きく変わる訳では無いように思います。
  2. 就活
    Post MBAではPEファンドや戦略コンサルを考えていますが、現時点ではこれらの会社も通常通りインターン・採用を行っていると聞いております。アメリカでのMBA就活はPE/VC/IBDを中心に大打撃を受けているとの話を聞きますが、そもそもMBA就活市場の規模感もコロナの影響も日本とは全く異なる為、同じレベルで影響を受ける可能性はそれ程大きくないと理解しています。
    そもそも、米トップスクールに留学する日本人は50-60名程度、中でも私費生は20名強でその中に起業やNPO等のキャリアを選ぶ人も含まれることを考えると、そうはいってもどこかに就職できるだろうという見立てがあります。企業側の一定の採用意欲が継続することを前提にすると、ボストンキャリアフォーラムや面接が仮にオンラインになったとしても、採用プロセス自体は進めることが出来るのではないかと考えています。
    (参考)
    MBA留学生数の推移 
    https://www.axiom.co.jp/mba/table
    MBAと就職活動 
    http://negotogatari.blogspot.com/2016/09/mba_17.html
  3. クラブ活動、イベント
    組織を率いる経験をしたいという点もMBA留学の理由の一つにあった為、クラブ活動やその他のイベントへの影響はかなり痛いところです。間違いなく活動の幅は減ると思いますし、既に幾つかのイベントが中止されている状況で、これに加えてビザが間に合わずオンラインでの受講となった場合、クラブ活動等で主導的な役割を果たすのは難しいのではないか?と思います。この点については残念に思う部分もありますが、寧ろ今の環境でしか得られない経験にもなり得ると前向きに捉えて、積極的に関わっていくしか無いと思っています。
  4. Class sizeの縮小や学生の質の低下
    Kelloggに進学した背景に卒業生のネットワークを含めた「学生の質」があるのは事実ですが、コロナ禍がそこにどの程度、どの様な影響を及ぼすかを予見するのは土台無理な話です。仮に入学辞退した人の代わりにwaitlistの方が繰り上がっていたとしても、その方と大切な友人になる可能性も勿論ある中で、この「学生の質」議論が決め手にはなり得ないと思います。そもそも自分は純ドメとしてクラスの底辺付近に君臨することが半ば約束された人間の為、他人のことをとやかく言うより自分の心配をした方が良いと考えています。

以上から、少なくとも卒業後は路頭に迷うことなく自分が目指すキャリアに向かい前進出来るのではないかという感覚があること、また勉強・クラブについては自分次第で実りある経験にしていくことも出来ると思われることから、今時点では予定通り進学するつもりでおります。

最後に、精神論になりますが、そもそもマクロ経済の不確実性に応じて自分の意思決定をなるべく歪めたくない、という思いもあったりします。仮に1年延期を自分が選択できたとしても、1年後の転職市場の状況や授業・クラブの活動状況が見通せる訳ではなく、またそこからどんな経験が得られるかは最後は自分に帰着するものだと思います。本質的に不確実な事柄について、不確実さが増したからと先延ばしにして自分が「理想」と思えるタイミングを待っている内に、大事な機会を逸してしまう様にも思います。

色々な偶然とご縁があってKelloggに留学できる機会を得た訳なので、今このタイミングで留学できることに感謝しながら、先ずは出来ることをしていきたいと思います。まずはビザの取得と、渡米までに日本でできる面白いインターン探しに専念します。