小市民ブログ

KelloggってMBAを出てアメリカで移民サバイバル生活をしています。サウナが好きです

秋学期の授業振り返り(2年目)

そろそろ2年生最初の学期の終わりが見えてきたところなので、恒例の授業の振り返りをしていきたいと思います。今学期の授業は全般的に当たりだった気がします。

Presentation Fundamentals

英語プレゼンに苦手意識を持っていたので履修。授業は極めてインタラクティブで、絶え間ないCold callと、与えられたフレームワークを使ってパートナーとプレゼン練習を繰り返すという、極めて実践的なもの。プレゼンの授業を履修するぐらいなので英語苦手勢の留学生や比較的シャイなアメリカ人が多く、なんだか居心地の良い授業でした。第3回の授業からは5分−10分のプレゼンを人前で披露しました。

テクニカルな部分でも学びはありましたが、一番の収穫は英語プレゼンをやる自信がついたことのような気がします。英語で10分間人前で話し、クラスの中でもそれなりに笑いをとり、Awesome Presentationと褒められたことで、きっちり準備していけばなんとかなる、という小さな自信になりました。

Takeaway
  • コンテンツに自信を持つことが最も重要
    話し方なり構成なり様々に指導を受けますが、圧倒的に大事なのは結局話している内容だと痛感しました。自分自身が、「この内容を話したくてたまらない」とプレゼンを楽しみにするぐらいのマインドになっていれば、まず失敗はしないと感じました。
  • コンテンツの作り込みの作法
  • 自分の人生経験に紐付けて、自分自身のViewを語る
  • オーディエンスが興味を持つフックを作る(Visualization、Quote、動画、Poll等)
  • 特に、オーディエンスが飽きてくる中盤−後半にEngagement Pointを作る
  • アイコンタクトは一人2秒
  • 歩き回らない。もしくは、話題のTransitionのときのみ移動
  • Opening→Forecast→Body→Recap→Closing

Digital Marketing Strategy and Implementation

教授のLearning by doingの信念が随所で感じられた授業。セオリーを学ぶというよりは、実際にインターネット広告を出すにあたって一頻りのTipsを仕込まれた後は、実際にFacebook広告を出してみる(200ドルの予算をもらいました)、Googleの検索ワードの素案を作って教授にFeedbackをもらう、そして最後は実在する会社のデジタルマーケティングの改善策を策定する、等々、アウトプットの機会がふんだんに設けられた授業でした。

GoogleFacebookも大きなレベルでは共通する部分があり、最初は少額でA/Bテストを繰り返し、KPIを確認(CTRやCPM等)、うまくいくターゲット・テキスト・その他設定について仮説検証を繰り返して精度を上げていく、というプロセスと理解しました。話を聞くのと実際にやってみるのは大違いで、CANVAで素材を見つけてFB広告を作り、どれぐらいクリックされてるかを確認、改善案の検討、という一連の流れを経験できたのは良かったです。

授業を通じてスタートラインには立てた気がしますし、将来小さなスタートアップ的な組織で働くことがあるときに、組織に貢献する一つの武器になり得るかもなと思いました。

Customer Analytics and AI

Rで機械学習のモデルを組んで、顧客のアクションを予測してビジネス上のインパクトを出す、という授業。 Neural NetworkやRandom Forest等幅広にアプローチを学べるし、活用事例も様々で良い授業だなと思いました(進度が早く負担も大きいので、結構ついていけなくなってる人もいましたが)。

トピックは以下のようなものがありました。

  • 特定の商品の購入確率と売上の予測、顧客のターゲティング
  • 顧客のサービス解約率の予測

夏にSaaSのスタートアップで仕事させてもらって経験を踏まえると、オンラインでサービス提供している業態だったら結構そのまま活かせる様な気もします。基礎的な顧客データ(性別や年齢、職業等)と介入の有無(販促メールを送ったかどうか、等)、結果(実際買ったかどうか)の3タイプのデータが有ればモデルは組めるので、これを元に顧客の購入率や解約率から売上を試算したり、結果への寄与度が大きい変数を特定して打ち手を考える、といったことに使える気がします。顧客のターゲティングについても、コストが顧客数に比例する場合は、損益分岐点以上の顧客を狙う等、活用できる気がします(逆に、メールをバラまくといった施策の場合、ゼロコストに近いのでターゲティングを考える意味がどこまであるのか疑問に感じました)。

逆に、顧客データがないとモデルの作りようもないので、やはり機械学習の主戦場はインターネット企業なのかな、と感じました。また、そもそも分析しやすいデータ整備をするにはどうすべきか?みたいなポイントはMBAでは学べず、その点は少し残念にも感じてます。MBA生がモデルを組みまくることは想定しておらず、何が出来るかを理解して分析を提案したり、解釈することが想定されている様に感じるので、MBAでアナリティクスを学びたいと思ってらっしゃる方は注意したほうがいいかもしれません。この点はKelloggに限らず、他のスクールも同様だと思います。

Marketing Research and Analytics

これも良い授業でした。Rを使わずにRadiantというNon codeでRを動かすソフトを使いましたが、これがめちゃくちゃパワフルで、データの加工や一頻りの分析(因子分析や機械学習まで)全てクリックだけで完結できるという優れ物でした。日本語を読み込むとエラーになるので日本では普及しなさそうですが、5−10年後は似たようなツールが広がり、機械学習等統計的な手法がどんどん身近になっていくのかなと考えたりました。

授業自体は、アンケートの設計(質問の作り方やサンプル数の決め方)、因子分析、クラスター分析と行って、顧客のセグメンテーションを行うというところが一番の肝でした。アンケートが元なのでデータを作るところから出来る=即ち全て自分で1から出来るということで、サウナーのセグメンテーションに使ってみたりもしました。定量的に市場を分けてみて、それぞれどれぐらいお金を使ってくれそうか、どれぐらい自社商品を買ってくれそうか等示唆を出せるのは、非常に面白い手法だと思いました。

授業では、実際のクライアントのためにアンケートを実施、分析、プレゼンテーションまで行うので、実際に手を動かすところまでやらせてくれるのも良かったです。

その他、Backward Approachと呼ばれる、その分析からどんな意思決定をするか決めた上で分析設計をするという考え方は目から鱗でしたし、CPG業界で働くゲストスピーカーが定量分析をどの様に日々使っているか聞けたことも、非常に有益でした。

まとめ

今学期はどの授業も収穫があり、授業選択が思った以上にうまいこといってくれた学期でした。来学期からインドのISBに交換留学、最後の春学期はどこか面白い会社でインターンできればと思ってます。2年間も座学で授業受けてばかりだと正直飽きますが、学生があんまり飽き過ぎないよう、MBAというものはよく設計されているなとつくづく感じます。

ISBの紹介や、学校でどの様に過ごそうと思っているかについては別記事にまとめたいと思います。本日はこのあたりで。

英語学習にはTipping Pointがあるという話

最近自分の時間の使い方を振り返ってみて、そういえば「英語学習」という形で時間を割くことがなくなったことに気が付きました。MBA1年目までは発音をなんとかしようとかDMM英会話も使ってみるか等々、それなりに英語のために時間を投じてきたのですが、最近は一山越えた感があり、これから先も「英語学習をしよう」という時間の使い方をすることは無いように思います。この変化は20代の貴重な時間をTOEICなりTOEFLなり不毛なテストに割いてきた人間にとっては大きく、MBA生活の1ページとしてまとめておきたいと思います。

英語界隈は上を見ると天井が無い世界ですし、私の英語力を知っている読者の方は大したことないやんけとツッコミつつ読んで頂ければと思いますが、英語がそこそこ上達するとこんな感じになるんだ、という参考までに読んで頂ければと思います。TOEFLとか発音とかのハック系記事は過去に書いてるのでこちらを参照ください。

shoshimin.hatenablog.com

shoshimin.hatenablog.com

英語コンテンツが日常に定着してきた

記事タイトルのTipping Pointとは何なのかというところですが、即ち日本語でやっていた活動を、英語で行うことにストレスをあまり感じなくなるポイント、というイメージです。読む・書く・聴く・話すの各技能それぞれTipping Pointが別々に存在する様に思いますが、自分の場合読む・書くは別に英語でも良いかな、という場面がかなり増えてきて、聴く、もそこそこ来てるかなという感覚です(話す、は全然まだですが)。

具体的には、「読む」だと日経→WSJ、無為なネットサーフィン→Reddit、「書く」は授業のNotetakingや考えをまとめるときのメモが英語に置き換わり、「聴く」も日本のYoutuberじゃなくてJimmy Yang等米国人の動画を観るようになる等、日々のルーティーンが英語に切り替わりました。そうなってくると、日々の生活と英語学習が渾然一体としてくるので、敢えて英語学習やるか、という時間の使い方をすることがなくなってきます。

早いところTipping Pointを越すために何をすべきか

上記の通り、Tipping Pointを越すとストレスなく英語が伸びる軌道にのりますし、それ以上に今まで触れたことなかったコンテンツに触れて人生楽しくなりますし、英語文献にあたったり非日本人のプロフェッショナルから抵抗なく話を聞ける様になるのは、日本で職業人として生きるとしても一つの武器にもなると思います(英語圏で仕事するならそれがスタート地点ですが)。

振り返ってみて、もっと早いとこ、このステージに到達するために何が出来たかなと考えると、基礎的な英語力が備わった段階で、無理矢理にでもTipping Pointを越えたが如く生活してれば良かったなと思います。即ち、2chまとめの代わりにReddit、LINEで日本人とダラダラ話す代わりにRedditやDiscordで見つけた外国人とダラダラ話す、考えをまとめるときは日本語じゃなくて英語で整理する等々、生活の一コマ一コマを無理矢理にでも英語にしていくと、その内に脳が慣れてきます。自分自身学生時代は結構参考書をやりこんだりしてしまいましたが、TOEICで900点ぐらい取れるようになったら、あとは生活の各場面を英語に置き換える、ということを心がけていれば良かったなと思います。

要するに

ダラダラ書きましたが、私の言いたきことは一つで、英語が出来るようになりたければ、英語が出来るようになったが如く生活していれば、その内慣れてきて生活の一部になるよ、ということです。巷にはボッタクリとしか思えない英語の情報商材が溢れてますが、海の向こうの外国人もYoutubeNetflixを観て掲示板で駄弁っているので、そこに突撃すればお金浮くしもっと英語も伸びるし、そして何より楽しいです。TOEICや英検に精を出すのも良いとは思いますが、自分自身の経験だと試験をハックしたこと以外に手元に残るものがほとんど無いのが正直なところです。

ということで、本日はこの辺で。

内向的な人が、どうやって外国人と心を通わせるか?

キラキラツイート/ポストに隠れてあまり語られないMBAの本質情報として、本当に仲の良い友人を作るのは容易ではないということがあります。海外経験がさほど多くない日本人と話していて、高校・大学・会社同期のように、共通の話題で一頻り盛り上がってたら深い友達に、というのはそんなに無いとの話を何度か聞きました。

自分自身はどうかというと、この手のアメリカっぽいパーティーに投入されたとしても私は全然パフォーム出来ないですし、そもそもこの手のやつはそんなに参加していないです。そんなわけで、典型的な現地のSocial Eventで活躍できない人が、どうやって心が通う友人を作るのか?というのが本日のテーマです。

「別にキャリアの為に来ているし」「授業を頑張れば良い」といった意見も最もなのですが、仕事でも学業でも、目の前の相手の心は掴めたほうが良いに決まってますし、何よりその方が楽しいです。私も模索中の身ではあるのですが、最近意識しているTipsを以下で共有します。

言い出しづらい話題を正面切って切り出す

まずは、皆が浅い、手探りの話題をしている中に、「それ聞いていいんだ?」と思われる話題をぶち込む、という作戦です。巧みな言い回しや気の利いたユーモア、鮮度の高い話題といった部分で外国人のハートを掴むのは至難の技ですが、Topicチョイスでその場のリーダーシップをとるのは十分可能です。具体的には、「恋愛」「米国/留学生の分断」「Capitol hillへのトランプ支持者乱入事件」「大学ってリベラル過ぎて言いたいこと言えない雰囲気ないか?」「アメリカって中国にGDPに抜かれるけど、その辺どう思ってるの?」等々です。

大抵、そんなに仲良くない人同士が話す話題は自分の経歴や履修している授業、就活の状況といったところですが、そんな中で、相手の目を見てでかい声で、聞きづらい話題をぶち込むと、その場の熱というか、雰囲気はガラッと変わります。その話題だけで、1-2時間は平気で皆で話し続ける、ということも珍しくないです。もちろん失礼に当たらないように時と場を選ぶ必要はありますが、対面・少人数で話している時は特に問題なく、多くの人は真剣に答えてくれます。

この言い出し辛い話題を面と向かって切り出すというのはアメリカ人の友人に習ったテクニックで、彼からは初対面で「日本って原爆投下されたことどう思ってるの?」と聞かれて面食らったことがあります。こんなこと聞いてしまう奴がいるんだと驚いて指摘したところ、「アメリカはPolitical correctnessが定着しすぎて、真摯な気持ちで本当に興味のある話題を持ち出すことが出来ない雰囲気があるが、自分はBullshitだと思っている」との答えを受けました。これは実際その通りだなと感じています。

参加するよりも、企画する

MBAに来ると企画は無限にありますし、KelloggみたいなWetで学生数も多い学校だと尚更で、365日毎晩パーティーすることも可能だと思います。ただ、そういった場所で全く新しい友人と意気投合する、というのは思いの外少なく、実際は既に知り合っているメンバーで寄り集まって話す、ということになりがちだと思います。いわんや、余程の実力者じゃなければ、イベントの輪の中心になる、なんて相当ハードルが高いです。

幾つかこうした経験を経て思っているのは、イベントは参加するよりも、企画するほうが実りが大きい、という点です。企画段階でのドタバタを乗り越えていく中で企画者サイドで結束が生まれますし、なんといっても、イベント当日、多くの参加者がホストを目掛けて近寄ってきてくれます。先日はKelloggで日本酒についてのイベントを開きましたが、日本酒や日本料理、日本のゲーム等、自分の土俵で話すことが出来ました。

別に日本に限定する必要はないのですが、国のコンテンツへの関心×そのコンテンツを発信する人の数という2軸で見た時に、日本はコンテンツ力は結構高い割に、中国・インド・韓国等と比べて発信者の数が圧倒的に少ないという需給ギャップがあるので、日本人的にはなんとも企画しやすい状況があります。使えるものは何でも使って、友人を増やしたり、距離を縮めたりしていけばいいと思います。

最後に

留学を通じて、肌の色や言語は違えど、人間は同じ様なことで笑い、怒り、悲しむということに改めて気づかされました。そして、それを通じて、安易に国という大きな括りでまとめて他人を論じることを気をつける様になりました。

前職の商社は駐在員が多い会社でしたが、「インド人は仕事をしない」「ラテン系は時間を守らない」と小馬鹿にする人も残念ながらいました。が、これは「日本人は全員アニメばっかり観ている」って言っているのと同じレベルです。色んな国の人と話し込んで、気が合う人もいれば気が合わない人間もいるということに気付ければ、安易に一般化して論じることはなくなるのかな、とも思います。

私もまだまだ模索中ですが、少しずつ終わりが見えてきた留学生活の中で、大切な友人をもう少し作っていけたらなと考えています。

アンケートを使ってサウナーを分類する【手法編】

こちらの記事では、サウナーを分類するときにどんなステップで行っていったかを紹介していければと思います(元記事はこちら)。

元ネタになっているのは私が通うKelloggのMarketing Research and Analytics という授業で、こちらで習った手法を練習する、というのが本アンケート企画の裏目的です。サウナーの方はKelloggなんて聞いたことない方が多いと思いますが、マーケティングを始めとして、結構世界的に有名なビジネススクールなんですよ(宣伝)

今回使ったコードは、以下に保存しております。アンケートデータの成形はPython、分析はR、というかRをベースにしたコードを使わずに分析できる、Radiantというツールを使いました。

元記事のおさらいですが、今回は以下のプロセスで進めていきました。

  1. サウナを利用する目的に関わる15個の質問を、5つの因子に絞り込み(因子分析と呼ばれる手法)
  2. 5つの因子(Factor)で各回答者を評価して、近い傾向にある回答者同士をグルーピングしていって、6セグメントに分類
  3. 最後に、各セグメントのサウナについての支出・性別・年代等の傾向を分析して、どんな人達がそのグループに多く含まれているかを確認

一つ一つ、詳しく見ていきます。

質問を共通要素に絞り込む

まず、事前に質問同士にある程度相関があるかどうかをチェックします。Bartlett test、KMO testと呼ばれる値を確認します(あまりにも無味乾燥なのでここでは省略)。その後、何個の因子にするのが良いかを考えるため、データを確認。因子を増やすほど15個の質問を沢山説明できる様になる一方、その後解釈するのが難しくなるというトレードオフがあります。Eigenvaluesという値が1以上であることが望ましい一方で、7割程度(以下テーブルの「Cumurative %」)は説明したいことも踏まえて、今回は因子を5つとすることを決定。

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そうして、15の質問から5個の因子を作ったら、各因子がどんな意味合いを持つかを考えるのは人間の仕事です。以下のように、各質問の値と、因子の相関を見ると、各因子がどの質問と関係が強いかが分かります(数値が1だと完全に正に相関、-1は完全に逆相関、0は無相関)。それを基に、各因子に名前をつけていきました。

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  • Beauty(デトックス代謝改善・ダイエット・美肌と強い相関)
  • Work Performance(脳のリフレッシュや精神面の安定、整いの快感と強い相関)
  • Fun Experience(サ旅やサ飯、休憩スペースの利用、整いの快感と強い相関)
  • Health(肩凝りや腰痛、睡眠の質改善と強い相関)
  • Friendship and Coworking space(コワーキングスペースの利用やサウナを通じた友人との交流と強い相関)

5つの因子を使って、回答者を6グループに分類

因子が出来たので、これを使って回答者をグループ分けしてきます。まず、何個のグループに分けるのが妥当か?という点を検討します。こちらはDendrogramと呼ばれるグラフで、グループ分けした時に、各グループがどれぐらい異なっているか?を示してくれます(遠いほど、違いが大きい)。上の方でDendrogramをぶった切ると2セグメントになりますが、それでは各セグメントに、全く異なるデータ群が含まれてしまいます。今回は、赤線のところで切って、6セグメントに分けています。

 

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そうして因子を使って回答者を6セグメントに分けていきます。

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各セグメント毎の因子の平均値を見て、どの数値が高い/低いかを基に、名前をつけていきました。因子に名前をつけるのと同様、Rが分けてくれた各セグメントの意味合いを解釈して、名前をつけるのは人間の仕事です。

各セグメントのサウナ支出・性別・年代等の傾向を分析

最後に、各々のセグメントのイメージを具体的に掴む為に、サウナ支出・性別・年代といったデータを見ていきます。

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(サウナ支出の中央値)

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(サウナ支出の平均値)

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その結果をまとめたのが、元記事で記載したスライドになります。

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ここまでご覧頂きました方、大変お疲れさまでした笑 ビジネスのパフォーマンス向上を求める層は20、30代男性に多い等、ある程度肌感に合う示唆も出ている様に思います。自分の思いつきで「サ旅に興味あるのは15%で1万円ぐらいは次に使ってくれるだろう」と決め打ちするのではなく、根拠を持って判断できるのがこうした定量的なアプローチのメリットと感じています。アンケート収集に使ったGoogleフォーム、分析に使ったRもRadiantもPythonも無料ですし、何かの参考になると嬉しいです(私の人件費も0円ですが、、)。サウナ以外でも、こんな分析をお願いしたい、といったネタがありましたら、課外活動の一環として取り組めるかもしれませんので、お気軽にコンタクトください。

最後に、本記事について、何か分析上の不備があったり、抜けている観点等々ありましたら、何でもコメント頂けると嬉しいです。

長くなりましたが、以上です。

アンケートを使ってサウナーを分類する

サウナブームと言われてしばらく経ちますが、その勢いは留まることを知りません。Googleトレンドで「サウナ」と検索してみると、2019年頃から火が着いたサウナブームは一旦コロナ禍で落ち込んだものの、2020年の6月頃には盛り返し、右肩上がりの上昇を続けています。

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その中で一つ言及すべきは、サウナの楽しみ方の多様化です。TVや雑誌のサウナ特集を眺めると、「サ飯」「サ旅」「美容」と、サウナを震源として、サウナに行く目的は色んな方向に広がっています。

そんな今だからこそ、今般、サウナーを対象に、緊急アンケートを実施しました。「あなたがサウナに行く理由」を15項目、5段階で評価してもらって、そのデータに基づいて、サウナーのタイプを6種類に大別したというのが、本記事の趣旨です。「昭和のサウナ好きおじさん」「サウナ女子」なんてステレオタイプに基づく分類が色んなメディアで散見されますが、データを統計的に見ていくとこんな風に分けられますよ、と新しい視点を提示できたら嬉しいです。

アンケートの概要

アンケートは以下の形で実施しました。結果のリンクもありますので、興味ある方は是非御覧ください。 

  • 実施日:2021年10月23日~10月27日
  • 回答募集経路:日本サウナ総研Twitter、サウナ関連のFBページにて告知
  • 回答数:357

どのように分類したか?

細かい話が多くなるので、詳細は別記事にまとめました。興味ある方は見てみてください。

 大まかな流れとしては、

  1. サウナを利用する目的に関わる15個の質問を、5つの共通要素に絞り込む(因子分析と呼ばれる手法)
    15個の質問で分類していると埒が明かないので、サウナに行く目的を以下の5因子に大別しました。
    • Beauty(デトックス代謝改善・ダイエット・美肌と強い相関)
    • Work Performance(脳のリフレッシュや精神面の安定、整いの快感と強い相関)
    • Fun Experience(サ旅やサ飯、休憩スペースの利用、整いの快感と強い相関)
    • Health(肩凝りや腰痛、睡眠の質改善と強い相関)
    • Friendship and Coworking space(コワーキングスペースの利用やサウナを通じた友人との交流と強い相関)
  1. 5つの因子で各回答者を評価して、近い傾向にある回答者同士をグルーピングしていって、6セグメントに分類
  2. 最後に、各セグメントのサウナについての支出・性別・年齢等の傾向を分析して、どんな人達がそのグループに多く含まれているかを確認

その結果が以下になります!

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各セグメントの説明

まずは、単語の定義から。

  • 比率:外れ値を除いた、350の回答者を分母、各セグメント人数を分子として計算
  • 支出額:各セグメントの回答者の、中央値(上から並べていって真ん中にいる人の支出金額)を使用。平均を使うことも考えましたが、ハードコアサウナーが月に数万円を使う為平均額は中央値よりかなり大きくなり、肌感と合わないと思い不採用
①旅人(21%)

「旅行とセットでサウナを楽しみたい」「サウナ施設の休憩スペースでリラックスしたい」といった項目に高い点数をつけたグループ。女性、30代に多い。

②体調回復(21%)

「肩こり・腰痛を軽減したい」「深い睡眠を得たい」といった項目が高かったグループ。男性・30代に多い。

③完全満喫(19%)

15の質問項目全てに高い数値をつけていたグループ。40代、50代に多い。お金を一番使っているのはこのグループでした。

④Beauty(17%)

「サウナの美肌効果に期待している」「サウナで代謝を良くしたい」等々、美容関連の項目に高い点数をつけたグループ。女性に多い。

ビジネスパーソン(15%)

「頭をリフレッシュして仕事や勉強のパフォーマンスを上げたい」「気持ちを落ち着けて、精神的に安定したい」等に高い点数をつけたグループ。男性・20-30代が多く、高学歴の比率が高いグループでもありました。

⑥付き合い(7%)

全体的に点数が低かったものの、「サウナ施設のコワーキングスペースを使いたい」「サウナやサウナ飯を通じて仲間たちと交流したい」といった項目には比較的高い点数をつけたグループ。50代に多い。

最後に

如何でしたでしょうか。大胆にサウナ市場を6分類してしまいましたが、今回実施したアンケートに基づくとこうなる、というもので、分析には限界も存在することもご留意頂けますと幸いです。アンケートの対象はサウナ総研のフォロワーやFBのサウナグループに所属する人だった為、サウナへの関心が比較的高い・且つSNS利用者中心のため比較的若い方が多い、等の偏りがあるものと思われます。とはいえ、何かしら示唆を与えられていたら嬉しいです。

サウナーの皆様におかれましては、自分がどのセグメントに属するかなんて考えてみたら、面白いかもしれないです。分析の性質上確実にこのセグメント!と言い切れる訳でもないですが、Appendixに入れた各質問の平均得点を見れば、大体自分がどのセグメントになりそうか想像ができると思います。

サウナ施設で働かれている皆様におかれては、どのセグメントをターゲットにしているのか、彼らの典型的なバックグラウンドや嗜好を踏まえて、お店づくりや宣伝をしていくと、より人気を高めることができるかもしれません。

最後に、感想や分析の改善点等、お気づきの点あればコメント大歓迎です。一緒にサウナ界隈を盛り上げて行きましょう。以上です。

Appendix

各セグメントがどんな人達か詳しく知りたい方は、以下のデータを見てみると良いかと思います。

各因子、セグメント別平均点

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各質問、セグメント別平均点

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性別毎の各セグメント比率

Body recovery=体調回復、Perfect Mankitsu=完全満喫、Traveler=旅人です

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世代毎のセグメント比率

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「突撃」というスキルに関して

コロンビア大学に留学している友人から、「普通の人がやらないイレギュラーな動きをすることで、思わぬ価値が生まれることがある」と言われたことがあります。Pythonを使って企業分析した結果を関係する企業の担当者に送ってみて、協業を提案してみるべきか?という話の中で、背中を押す為に彼が放ってくれた言葉です。

結局その時は企業の方から返信は頂いたもののそれ以上進展することはありませんでしたが、振り返るとMBA受験以降、見ず知らずの方の経歴だけを見てコンタクトしたり、企業HPに突然メッセージを送りつける、といったことをたくさんやってきました。この、「見ず知らずの人/企業に突然メッセージを送る」行為を私は「突撃」と呼んでいるのですが、突撃のパワーは意外と大きいんじゃないか、というのが今回の記事です。

私自身はMBA留学する前から突撃する素地が多少備わっており、毎日のように通っていた某吉野家が現金決済だったことに憤ってお客様窓口にメールを送り付け、数週間後交通系ICカード決済を導入させた実績を持つ人間です(本当に私のメールと因果関係があるかは謎ですが、タイミングは完璧でした)。そんな癖がついたのは、昔中国に留学していた時、言いたいことはすぐ、思ったタイミングで伝えるべきと痛感したことがあったためです。

中国でぼったくられる

中国に降り立って数日したある日、私はキャンパスの巨大さに辟易としていました。私が通っていた大学は冗談抜きで一つの街と言って差し支えない規模で、端から端まで歩くと30分は優にかかるぐらいのサイズ感でした。そこで、自転車を買おうと思い立ち、キャンパス内にあった自転車屋に立ち寄ったところ、現地製の自転車を1万円ぐらいで売ってくれました。自転車屋のおじさんは白いランニングを着て愛想が良いニコニコしたおじさんで、中国語を録に理解しない私にも動じずに、高さ調整やライトの取付まで、全てにこやかに対応してくれました。

ここで話が終わればよかったのですが、その翌日のこと。同じ時期に留学していた日本人にキャンパスで会い自転車を買った旨を伝えると、なんと彼は同じ自転車屋から、4,000円程度で自転車を買ったというのです。白いランニングに日焼けした肌。おじさんのはにかんだような笑顔が目に浮かびます。

大学の構内の自転車屋でぼったくられたことに衝撃を受けますが、最早取り返しは付きません。中国の大都市の地価高騰のペースはその当時尋常ではなく、安自転車を売るおじさんも生きるのに必死で、相対的に金払いの良い留学生からは少しでも高値で売ろうと決めていたのかもしれません。ただ、それ以降は百度で必ず相場を調べた上で、ふっかけられている可能性があると思ったら、拙い中国語でもすぐに店員に伝えるようにしました。以来、幸いぼったくられることはなくなりました。

なんで突撃は良いのか

突撃について妻に伝える度に、妻からはそんなことよくやるね、といった反応を受けます。実際、特に日本人で突撃を実行している人は稀だと思いますし、突撃した相手の方から「こんな風にコンタクトしてきた人は初めてだよ」と言われたことも何度かあります。ただ、突撃は意外と成功率が高いです。私がやってきた経験に基づくと、5割どころか、8割方は返事が返ってくる印象です。突撃自体の投資は多少丁寧なメッセージを書くだけに過ぎませんが、突撃が成功すると、業界の裏話や企業の選考のTips、成功した方独自の拘り等、どこにも文字化されていない知見が得られる可能性が高いです。

具体的なところで行くと、私が夏にインターンしていたMantraというAIスタートアップも元はと言えば漫画の翻訳ツールを探していたところで見つけ、HPのフォームに突撃したことが始まりです(社長の石渡君からすぐ返事が来ました)。KelloggではJapan Clubの代表として企業の方にお声がけしてスピーカーイベントを企画していますが、そちらも過去別件で突撃した方に依頼をかけてみて実を結んだ、ということもあります。サウナ総研の研究員にしてもらったのも、サウナ総研HPに突撃して代表と繋がったことがきっかけでした。

この様に、突撃によって何度も唯一無二の経験をさせてもらっていますし、また新しく知り合った人に話して盛り上がるのも、よくあるMBAの授業や就活の話よりも、突撃に端を発するエピソードだったりします。ユニークネスが全然違うから当然です。

私はそんなに社交的なタイプではなく、「人脈を増やすため」に同級生が行っているイベントはサボりがちな人間ですが、自分なりに思いを持って突撃して、1on1で思いをぶちまけた方が相手の印象にも残るし、その時実を結ばずとも後々伏線を回収するようにご縁が繋がることも多いと感じています。

MBAに来ると、就活の文脈でLinkedIn経由で卒業生に連絡をとってみたり、逆に学校の日本人HP経由で受験生から連絡を受けたりと、比較的敷居の低い「ライトな突撃」を経験することが多いと思います。私のお薦めとしては、そういったライトな突撃に留まらず、自分が面白い、話を聞いてみたいと思った先には、躊躇せずに突撃してみると、新しい発見やご縁がある様に思います。

 

MBAの価値:人生のグリップを握るということ

先日受験生と話していて久々に自分の当初のWhy MBAを説明するということがあったのですが、理由の大部分が爆発四散して破綻していることに気づき、あれ、そもそも自分ってなんでMBAに来たんだっけ?とこの期に及んで考えるということがありました。

MBAって世の中の人が思う以上に高い(2021年の今だと諸々引っくるめて2,500万円ぐらい)し、自分の場合結婚したばかりの妻と離れ離れになっていますし、そんな中授業や就活が思い通りにならないことも数え切れないぐらいあります。前職の総合商社で自分がスタープレーヤーだったなんて思いませんが、仕事は好きでしたし収入は世間で言われている以上に良かったことも考えると、なんで敢えてハードモードを選んだんだろう?とは改めて思います。

FIREへの憧憬

TwitterやFB等を開くと、「FIRE」「コスパ」「商社でWindows2000」「地主が結局最強」「駐妻がロブションに行っていた」等のキーワードがバズっているのを目にします。要は、労せずして経済的に豊かな暮らしをするというのは、多くの人に訴求できるみたいです。そういった人々から見て、Windows2000のオプションを放棄するどころか、2,000万円以上自腹で投じて単身アメリカに渡るMBAは、狂気以外の何物でも無いような気がします。

MBA後にキャリアアップするんじゃないのか?という議論もありますが、商社以上の高収入が見込める仕事(IBDやファンド等)もある一方、期待値ベースで商社を上回る仕事は、こと日本に限ると少ないと思います。

人生のグリップを自分で握る

とするとなんでMBAに来たのか?という話に戻るのですが、畢竟、自分の人生のグリップを自分が握っている、という感覚に尽きるのだと感じています。MBAを通じて好き嫌い・得意不得意についての自己理解を深め、卒業後自分に合った、満足のゆく人生を自分で作っていくということに、MBAが果たす役割は大きいと思います。

それはよく言われる、「MBAに来るとCareer Opportunityが劇的に増える」という話とは寧ろ逆で、世界に無数にある仕事の中で自分に適したものを絞り込んでいくことを、MBAの経験が助けてくれる様な感覚です。この辺り、もう少し説明しましょう。

MBAに行けば何にでもなれる」という幻想

MBAに受かってすぐの頃は、MBA後のPathは経営コンサルや投資ファンド、はたまた起業、それも国を跨いで、と自分は何にでもなり得る様に勘違いしていた時期もありましたが、自分にとっては淡い幻想に過ぎませんでした。実際に入学後に待っていたのは、そういった幻想を一つ一つ、現実というハンマーで叩き潰していくプロセスです。

Kelloggに来ると、Exit経験者もコンサルもバンカーもファンドマンも話を聞くのは途端に容易になりますし、Experiential Learningやインターンシップを通じて仕事を実体験することも可能です。そうしてキラキラツイートでしか知らなかった世界の裏側を見ると、そこで働いている人の優秀さ、競争の苛烈さ、(最近は改善しているとはいえ)労働環境の過酷さ等々を、リアリティを持って知ることになります。夢見る内は良かったのですが、現実を目の当たりにすると「そもそも入社できるのか?」「入ったとして自分より頭の回転が早く長い時間働くことを厭わない人との競争に勝てるのか」そして何より「本当にその仕事したいんだっけ?」と、具体的な疑念が湧いてくることになります。

グリップを握るまで

MBAに対してキラキラした印象を持ってくださる方もいらっしゃいますが、大企業から大した海外経験もなく来ると、気落ちすることも多いのが実態です。地元の中学校で一番野球が上手いからといって、県選抜でレギュラーになれるとは限りません。

七転八倒を繰り返す中で、「自分はこの仕事なら比較的得意だな」「この分野なら長時間でも楽しみながら取り組める」といったものを見つけ、自分に相応しいキャリアを模索する、というのが自分にとってのMBAの経験です。MBAの良いところは必修授業を通じてビジネスに関わる一通りの領域を触れられますし、繰り返しですが就活や同級生との交流を通じて、ビジネスを構成する色んな要素に接点を持つことが出来ます。

中日の井端選手はドラフト下位で入団、後輩の大型新人の福留選手にレギュラーを奪われ、クビ寸前になったところで、守備とバントに活路を見出したそうです(以下記事参照。面白いので是非)。自分のキャリア選びも結構それに近い感覚です。

星野監督についたうそ | その他 | NHK生活情報ブログ:NHK

結論

結局の所、私個人の話で行くと、MBAが世間で喧伝されているようなキャリアアップや収入アップに繋がるかは、正直分かりません。10年後家計簿をExcelでつけている時に、商社に残っていたらもっと貯金あっただろうな、と肩を落とすことになるかもしれません。それでもこれが自分の人生だからとその時言えれば、それで良いのだと思っています。